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なでしこジャパン、再び世界の頂点を目指す舞台へ

6月に女子サッカーW杯フランス大会、3年の苦闘経て90人招集の集大成

増島みどり スポーツライター

フランスでのW杯に臨むサッカー女子日本代表メンバーの選考理由について説明する高倉麻子監督=5月10日、東京都文京区

 6月7日に始まるサッカー女子W杯フランス大会代表23人が5月10日、都内文京区のJFAハウスで発表された。120人もの報道陣が詰めかけた会場で、高倉麻子監督には自信がみなぎっているかのようだった。

 「全てはこのW杯のために準備してきました」と、清々しい表情を浮かべ、自ら23人の代表の名前を読み上げる。ビッグサプライズは、3大会連続出場となる阪口夢穂(みずほ、日テレ)だろう。

 Aマッチ124試合と今回の代表最多を誇るMFは、11年大会で澤穂希を生かす中盤のかじ取り役「ボランチ」として活躍。しかし昨年、リーグ戦で右ひざ前十字じん帯損傷の大ケガを負い全治8カ月でチームを離脱し、ようやく復帰した今季も、まだ1試合も出場はしていない。

 監督は、「長い大会、不測の事態が起きる。(阪口には)本番にしかない緊張感をどう乗り越えるか、支えてもらいたい」と、ベテランに期待を寄せた。

 2015年W杯カナダ大会では決勝でアメリカに完敗(2―5)したが、それでも11年ドイツ大会優勝の意地を見せて準優勝を果たしている。11年優勝、12年ロンドン五輪準優勝、そして15年も準優勝と全てアメリカを相手に世界の強豪国として、揺るぎない地盤を固めた3大会連続決勝進出の快挙でもあった。

 しかしここから苦闘が始まる。

必要とされた大幅な世代交代

 15年W杯翌年、16年リオデジャネイロ五輪アジア最終予選で敗退し、2004年アテネ五輪以来積み重ねたオリンピック連続出場が消滅。国際大会の数が男子と比較して少ない女子にとって、五輪とW杯は、世界に対し自分たちが今、どの位置を走っているのかを明確にするいわば「両輪」のような存在である。そのひとつを失い脱輪したままの危機は、これまで幾度となく女子サッカーが乗り越えてきた崖っぷちとは様子が異なっていた。問題が一気に噴出したからだ。

 エース澤穂希、チームの司令塔・宮間あやら、主軸の選手の多くがピッチを去り、かつてない大幅な世代交代が必要とされた。

 さらに、11年優勝時には速いパスワークとスピード、団結力で世界を席巻したサッカーのスタイルそのものにも大きな変化が求められた。世界中が、体格で不利な日本が躍進した創意工夫を取り入れようと、女子の強化に本腰を入れ研究を始める。リオ五輪のアジア予選敗退は、いつの間にかマンネリ化していたチームと、新サッカーの模索を同時に突きつけられた結果だった。ドン底ともいえる時、

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