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旭日旗は忘れられていない

「韓国だけが特殊である」という誤解

清義明 ルポライター

サッカーの世界では処分対象

 旭日旗について、また喧しい議論となっている。来年の東京オリンピックの組織委員会が、大会中の会場への持ち込みや掲示について、禁止する考えがないことを公式な見解として公にしたからだ。

 これについて、政府やマスメディアも含めて様々な議論が行われているが、サッカーの世界においてどのようにこれが決着したかは事実としてはっきりしている。

 過去たびたび会場内での掲示が問題となっていた旭日旗について、アジアサッカー連盟(AFC)は、「国家の起源に関する差別的シンボル、および政治的意見(discriminatory symbol relating to national origin and political opinion)」として、その意匠をサッカー会場で掲揚したことを処分対象としたのである。

ソウルで行われたサッカーアジア杯の日韓戦で、日本サポーターが旭日旗を掲げた=2013年7月28日

 2017年に川崎フロンターレがアジアチャンピオンズリーグのアウェイでの韓国戦において、この旭日旗を応援に使用した川崎フロンターレのサポーターがおり、これに抗議する韓国サポーターとトラブルになったのが、この直接のきっかけである。これに対して、日本サッカー協会とJリーグの上位組織である、AFCは、執行猶予付きながら無観客試合を1試合、そして罰金1万5000ドル(約170万円)のペナルティを課した。これは日本のチームが国際試合で下された処分としては、前例のない重いものである。

 川崎フロンターレはこの処分を不服として上訴した。しかし、これはすぐに棄却された。よって処分は確定している。

 オリンピックはもちろんサッカーだけの大会ではない。しかしサッカー競技はオリンピックでも国際サッカー連盟(FIFA)の管轄の下に行われる。そうなれば、下位組織のAFCが下した判断は、そのままオリンピックのサッカー競技に準用される可能性が高い。AFCが下した判例はFIFAの倫理規定や懲罰規定がもとになっているからだ。

旭日旗に「政治的な意味はない」か

韓国人を排撃するヘイトデモでは、日の丸よりも旭日旗が好んで掲げられることが多い=2013年2月17日、東京・新大久保

 オリンピックでは、政治的な中立性を担保するために、「オリンピック開催場所、会場、他のオリンピック・エリアにおいては、いかなる種類の示威行動または、政治的、宗教的、人種的な宣伝活動も認められない」とオリンピック憲章に明記してもいる。

 一方で、「旭日旗はいかなる政治的な意味ももたない」というのが、最近の政府の見解になっているらしい。しかし、それはあくまでも日本政府の主張であり、あわせて先に川崎フロンターレ側の上訴の主張でもある。国際社会と日本の認識がズレているというのは別に珍しいことではない。そして実際にサッカーの世界ではこの日本の認識は通用しなかったということだ。

 ただし、もちろんこれは会場などで、トラブルになった場合だ。旭日旗が翻っても、問題化しなければそのまま許されることになるだろう。実際にサッカーにおいても、現在も旭日旗は普通に使われている。ただし、海外のチームとの対戦、ことに東アジアのチームとの対戦は別扱いである。このようなケースの場合、現場では日本サッカー協会もJリーグも事実上ファン・サポーターに様々な働きかけをして自粛を促しているのが実際のところである。

 さて、これまで旭日旗問題が起こるときには、韓国側からの抗議があったことを契機とするものが多かった。そのため、旭日旗を問題視するのは韓国だけというような論調が、メディアやインターネットなどをみると一般的に

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