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人は見た目に騙されやすい

それは決して詐欺やいい加減な情報だけの話では無い

赤木智弘 フリーライター

アレルギーにかかわる2件のミス

 1月25日に、愛知県碧南市は、ふるさと納税の返礼品として送ったパンを口にした女性が、食品アレルギーによるじんましんを発症したと明らかにした。

 ふるさと納税サイトの紹介文には乳製品が使用されていないと記載されていたが、実際にはパンのトッピングに使われていたチョコレートに乳製品が含まれていたという。([「「乳は不使用」のパン、女性が食べてじんましん発症…実際には」 読売新聞オンライン)(「碧南市返礼品アレルギー表示誤り」 NHK NEWS WEB )

 さて、ところは変わって千葉県浦安市のホテル「舞浜ユーラシア」でも、アレルギー関係の問題があった。

 こちらのホテルのレストランでは、メニューにアレルゲン表記をしていたが、中華丼にエビが含まれていたにもかかわらず、エビの表記が無く、食べた客がアレルギー症状を発症してしまったという。(「ホテルのレストランでメニューのアレルギー表記を見て海老が入ってない中華丼を頼むも、海老が入っていて嘔吐や蕁麻疹で緊急外来へ」 togetter)

shutterstock.com

 実を言うと、こちらのホテルのサウナが好きで、僕は月1、2回通っている。なのでこうして取り上げることに多少の躊躇はあるのだが、好きな施設だからこそ、問題があればちゃんと論じておきたいのである。

 もう少し詳しく見ていこう。

 返礼品の件だが、市によると市内の業者が提出した書類に「小麦、卵、乳は不使用」と記載されており、市はそれを元にしてふるさと納税サイトの紹介文を作成したという。なお、乳製品が含まれる旨は、パンに貼られたラベルに記載されていたということだ。

 どのようないきさつがあったかは分からないが、業者が不注意で乳製品を含む製品をふるさと納税返礼用のセットに含めたか、書類の記載を間違えたかしてしまい、また市側もしっかりと確認をせず、業者の書類を鵜呑みにしてしまったということである。

 ホテルの件は、被害に遭った人がツイートを行ったことで話題となった。ツイート主はエビアレルギーを持っていたが、中華丼にエビの表記が無いことから喜んで中華丼を注文したところ、実際にはエビが入っていたという話である。

 このツイートを見た人から「中華丼にエビが入っているのは当たり前」とか「記載が無くても確認するべきだ」という指摘も入っていたが、そうした指摘には首をかしげざるを得ない。

 本来アレルギーを持つ人が安心して注文できるためのメニューのアレルギー表記を信用できず、いちいち「ここに入っていないと書いてあるが、本当に入っていないのか」を確認しなければならないということは、アレルギーを持つ人は常にお店を疑わなければならないし、またお店にとっても疑われることを受け入れざるを得ない。

 双方にとってストレスが溜まるだけであり、不幸としか言いようがない。なお、被害に遭った人のツイートは、ホテルから謝罪があったとして現在は削除されている。

「一定の整った書式」の罠

 さて、この二つの話は同じアレルギー問題なのだが、もう一つの共通点に気づいただろうか?

 それはこの問題を引き起こしたのが「一定の整った書式」が

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