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政治家たちと会食をするな

くだらない屁理屈を連発する政治家を許しているのは誰だ

赤木智弘 フリーライター

 自民党の二階俊博幹事長は、BS朝日の番組において、12月14日に菅義偉総理大臣をはじめ、福岡ソフトバンクホークス会長の王貞治氏、俳優の杉良太郎氏、タレントのみのもんた氏ら8人で会食を行ったことに対し「別に8人で会っただけで、会食ということを特にやったわけではない。飯を食うために集まったんじゃない」と発言し、会食ではなく意見交換だという屁理屈を主張をしたという。

 これに対して、西村康稔新型コロナ対策担当大臣は「一律、5人以上の会食をダメだと申し上げているわけでは無い」と擁護のための屁理屈を展開。麻生財務大臣に至っては「6人家族だったら。飯は一緒に食うなということ?」などと、家族での食事と他人同士での会食のリスクが異なることを理解しない、〝麻生節〟と呼ばれる屁理屈を述べた。

 この会食が明らかになって以降、自民党議員らによる様々な会食が報じられている。

「俺たちは例外」なのか。バカにするにもほどがある

コンパニオンが参加する宴会を開いたことについて陳謝する西尾市議会議員ら=2020年12月22日、愛知県西尾市

 愛知県西尾市では自民党系の市議らが14人で宴会。コンパニオンを呼んでいたことに対して「コンパニオンは感染防止対策として呼んだ」という、明らかな屁理屈を主張した。宴会を行った旅館は自民党市議が経営する旅館であった。

 埼玉県では自民党県議団の3、40人が会食。これについて「三々五々あつまって食事をしただけ。会食を行った認識は無い」と屁理屈を主張した。

 徳島でも自民党の県議らが3、40人以上で会食。飯泉嘉門徳島県知事も参加したという。

 鹿児島県の塩田康一知事も自民党県議ら約10人と会食をした。十分な感染対策が取られており、東京や大阪とは状況が異なるから問題ないと説明している。

 そして自民党の宮腰光寛衆院議員は、徳島市内で、漁業組合関係者と懇親会に参加。酒を飲み転倒。出血し救急搬送されていたという。

 そもそも「5人以上での会食は控えて欲しい」とアナウンスしているのは政府である。多くの国民が新型コロナを蔓延させないためにと、そうしたアナウンスを聞いて理解して、様々な行動を抑制している中で、政権側である自民党所属の議員たちが自ら会食や宴会を繰り返すというのは、あまりに酷いとしか言いようがない。

 内閣官房は新型コロナウイルス感染症対策のサイトで全面的に「この冬は、静かな年末年始」というキャッチコピーを出し、西村康稔新型コロナ対策担当大臣も動画で訴えている。しかし西村大臣本人が、菅総理や二階幹事長らの会食を当然のように擁護しているのだから「どの面下げて」と思うしか無い。

 国民の多くが手洗いやマスク、そして手指の消毒を徹底し、会食などを控えて、新型コロナの感染防止に協力しているのに、「協力してください」と言っている方は「俺たちは例外だ」とばかりに宴会や会食を繰り返しているのだから、国民をバカにしているにもほどがある。

 そして最も怒りを抱いているのは飲食業界の人たちだろう。

 今年前半の休業要請、そして再開してからも客足がなかなか戻らず、年末年始の忘年会や新年会需要でなんとか稼いで今年はしのごうと思っていた矢先に、新型コロナの感染が急増して、政府が「5人以上の会食は控えて欲しい」とアナウンス。先の見えない中で不安を抱いている飲食関係者はたくさんいる。

 にもかかわらず、首相自ら8人での会食に参加し、それに対して政府の人間が「5人以上の会食が一律に悪いわけではない」とか「会食が目的ではなく、意見交換が目的だ」とか言い出すわけだ。当然「じゃあ休業要請などに応えている俺たちは何なのか」と思わざるを得ないのである。この際、飲食業界でも「5人以上の新年会お断り、5人以上の意見交換会大歓迎!」とアピールしてしまってもいいのではないか。

権力にこびへつらい、舐められた挙げ句に

 最後に、僕はマスコミに対しても憤りを感じている。

 首相の会食に参加したタレントのみのもんた氏は、当初「別室で参加していた」と主張していたが、東スポの取材に対して「別室のわけないじゃない。冗談で言ったら真に受けられちゃったんだよ」と答えている。

 みの氏は「真面目な記者だったんだね」とフォローしているが、みの氏のあまりに不自然な冗談に対して、記者たちは疑念を抱くことも確認行為をすることも無く、そのまま報じたのである。これはつまり、記者たちが「首相筋の話においては、その主張に対して一切疑念を抱いたり、チェックをしてはならない」という規範を内面化してしまって

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