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軽く扱われてしまう「鳥」の命をめぐって

鶏卵汚職、殺処分……人間との持続可能な関係は

梶原葉月 Pet Lovers Meeting代表、立教大学社会福祉研究所研究員

 鳥の鳴き声が聴こえてくる季節。

 朝になると、チチチチとか、チュンチュンとか、詳しくないので種類まではわからないが、いろいろな声がする。

 庭に水を置いてみたら、鳥たちがくちばしで器用に水を飲んだり、特に暖かい日には、水にジャンプインしたりする姿が見られるようになった。今まで身近な鳥を特に意識したことはなかったが、愛らしくやって来ては自由に飛びさる様子を眺めているのは結構楽しい。

身近な鳥を眺め、楽しむ

シロフクロウ
 コロナ禍の影響で、バードウォッチングをする人が増えている。

 ニューヨークでは、シロフクロウがセントラルパークに現れて、ウオッチャーが詰めかけていることがニュースになった(ゴージャスなシロフクロウがセントラルパークに現れる マンハッタンでは「激レア」=Gorgeous Snowy Owl Makes "Mega-Rare" Manhattan Appearance In Central Park:Jake Offenhartz and Jen Chung 2021年1月27日Gothamist)。

 北極圏で繁殖するシロフクロウは、冬は北アメリカ大陸ま で降りてくるが、大都会の真ん中で見られるのはすごく珍しい現象だということだ。

 ちなみに、日本だとこういう場合、地名や川の名前などに、「ちゃん」を付けたあだ名がすぐついて、マスコミは「○○ちゃん」とその名前で統一して呼ぶが、ニューヨークのカメラマンに聞くと、アメリカではそういうことはしないらしい。

Dora Zett/shutterstock.dom
 また、イギリスではコロナによるロックダウンで在宅時間が増え、庭でのバードウォッチングが過熱気味で、隣の人より、より魅力的な餌場を作って(つまりより美味しい、よりたくさんの餌を置いて)、鳥を奪い合うご近所トラブルまで起きているという面白いエッセイもあった(恋と郊外の鳥の餌やり戦争は手段を選ばず=All's fair in love and the suburban bird-feeding wars:Peter White 2021年2月24日 The Guardian )。

増えているフクロウの輸入

Ondrej Prosicky/shutterstock.com

 日本でも、鳥を愛でたり、家で飼ったりする歴史は長い。

 2017年度(平成29年度)の「東京におけるペットの飼育」調査によれば、鳥を飼っている人は、17.2%。魚類は26.8%で、ペット禁止のところでも飼えるペットはそれなりの数飼われていることがわかる(「平成29年度第4回インターネット都政モニター「東京におけるペットの飼育」調査結果」東京都)。

 鳥獣保護管理法(鳥獣の保護及び管理並びに狩猟の適正化に関する法律)によって、野鳥を捕まえてペットにすることは基本的には禁止されているから、欲しい人はペットショップに行くか、里親探しをしている人や団体から譲り受けることになる。

 ただ、鳥類の輸入はワシントン条約や外来生物法など関連の法律によって規制されており、環境問題への関心の高まりもあって、年々数が減っている。

 厚生労働省の輸入動物統計によれば、2003年、日本には12万1114羽が輸入されていたが、2020年には 9361羽と10分の1以下になっている。

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