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カタールW杯で浮かび上がった「新しい景色」への次の課題

代表次期監督は森保留任を軸に調整か 年明けにも再契約オファーの可能性

増島みどり スポーツライター

JFA会長は指揮官との再契約に前向き

 一度はチームと帰国し、いくつかの会合、面談に出席したJFA(日本サッカー協会)の田嶋幸三会長は10日夜、決勝に向けて熱戦が続くW杯カタール大会でFIFA(国際サッカー連盟)理事としての任務に戻るため慌ただしくカタール・ドーハに飛び立った。

 会長は成田空港で森保一日本代表監督の去就について、「私が(会長として)色々言うのは良くないので、(技術委員会の報告とリストアップの)プロセスを踏むことになる」と、技術委員会の反町康治委員長からの報告を最優先するとしたうえで、「(次期監督選考を)慌てる必要はないが、無駄に時間をおくこともない。誰も候補がいないのであれば仕方ないが……」と、筆頭候補とされる森保監督へのオファーと、早期の合意に前向きな姿勢を示した。会長は、「選手も監督も改めて本当によくやってくれた。(繊細な)コミュニケーションもしっかり取れていたと思う」とした。

 今大会の8強(クロアチア、ブラジル、アルゼンチン、オランダ、フランス、イギリス、ポルトガル、モロッコ)も全ての国で、自国の監督が指揮を執っている。

カタールW杯ドイツ戦で前半、指示を出す森保一監督=2022年11月23日午後4時18分、ハリファ国際競技場、伊藤進之介撮影カタールW杯ドイツ戦の前半、指示を出す森保一監督=2022年11月23日、ハリファ国際競技場

「技術リポート」は年内にまとめる意向

 田嶋会長の話と連動する形で、7日の凱旋帰国会見でも、反町康治技術委員長が、「テクニカルリポート」の作成について言及している。このレポートとは、W杯終了後、日本代表の戦術や映像をもとに分析されるデータ、これに世界的な潮流を合わせて分析するもので、1998年に初出場を果たしたフランス大会から続く「日本のW杯全史」ともいえる重要な報告書だ。反町委員長は、W杯大会終了後の中旬から年内にはこれをまとめあげる意向だという。

 技術委員会のレポートをベースに、委員長を中心に田嶋会長との議論に入る。この流れは、田嶋会長が代表監督選出を会長の専任事項とせず、技術委員会との議論を経て理事会に推薦するようにしたものだ。

 年内に報告書が完成するスピード感は、森保監督の続投を選択肢に、あまり間を置かないようスケジュールを組んでいる配慮もうかがえる。森保監督ら代表スタッフの契約は1月いっぱいと見られ、1月中には正式に契約のオファーを出す運びとなる。

 FIFA(国際サッカー連盟)が定めるIMD(インターナショナルマッチデー、各国が国際親善試合を行う日として、クラブも選手を代表に送る)は3月にあるため、ここでスポンサーがサポートする国際親善試合が組めるようであれば、監督2期目のリスタートの試合となる。

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