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Learn from Korea(韓国から学べ!)

鈴木崇弘

鈴木崇弘 城西国際大学客員教授(政治学)

 最近、国際社会で、日本の企業が韓国の企業に負けている、という話をよく聞く。これは、韓国企業は、自国市場が狭く、プレーヤーが限定されているので、資源や人材の配分などにおける強力なリーダーシップが発揮しやすい、という状況があるためでもある。また韓国企業は、海外の企業などと積極的な共同事業や共同開発を推進し、政府と一体となった積極的かつ攻撃的な売り込みで、海外での大型プロジェクト受注などにも成功しているといわれる。

 このようにして、韓国のビジネスは、少なくとも現在そして短期的には、国際社会において、日本のビジネスよりも存在を示している感がある。

 ところが、このようなことは、ビジネスだけではない。実は、パブリックな面でも起きている。それは、最近の次のような事業においても、表れていた。

 「日韓社会的企業交流事業」(主催:韓国希望製作所=http://eng.makehope.org/、一般社団法人DSIA=http://blog.dsia.or.jp/、助成:(独)国際交流基金=http://www.jpf.go.jp/j/index.html、協力:城西国際大学大学院国際アドミニストレーション専攻=http://www.jiu.ac.jp/graduate/human/major/admin/index.html)が11月17日から20日にかけて実施された。その事業の一環として、「日韓ヤング・チャレンジ」と題して、韓国の若手社会起業家、社会に関心を持ち様々な活動をおこなっている日韓の学生などによる事前活動、プレゼン、ディスカション、ワークショップ、公開討論会、日本の社会起業家訪問、フォーラム開催などの交流活動が実施された。私も本事業のサポートをさせていただいた。

 なお、社会的企業とは、ビジネス的手法を活かし、収益事業を行い、社会の様々な問題を解決する事業体のことである。またそのような事業(体)を創始した者を社会起業(企業)家と呼ぶ。

 この交流事業における様々な活動で人目を引いたのは、やはり韓国人の若手社会起業家たち(ほとんどが20歳代)の活動と自分たちの活動に対する自信に満ち、前向きにかつ積極的にプレゼンする姿だ。

 ここで参加した韓国の社会的企業について、解説しておこう。

 まず、農村と都市消費者を繋ぐ優しいブローカーとしての役割をはたしている「ビツイン(Between)」。この社会的企業は、農村がつくる健康な食べ物のなかで、特に「わけあり農産物(キズがあっても、味がよく、農村でも都市でも販売することでメリットのある農産物)」を扱い、それに対して「OKマーク」の認証をしたり、不透明な販路のために経済的に不利益を被っている農民の農産物の販路を改善していくことを目的として活動している。

 2つ目の組織が、皆が共有できるアートを目指す「A.S.A(Art Owned by All)」。文化芸術を楽しむことのできない階層もアートを共有できるように、芸術活動を広げことを目的とし、アーティスト(芸術家)が自分の才能を発揮し、それに正当な対価が得られるような社会の基盤づくりもおこなう。これらの目的実現のために、各地域のターミナルを基点にして、文化事業を企画している。現在、韓国のインチョン(仁川)地域の新人芸術家が、インチョン国際空港ターミナルの待合室で、自分の作品を展示、公演できるようにしている。また市民参加型の芸術パフォーマンスも企画している。

 3つ目の組織が、

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