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ウィキリークス報道、与野党の「ノーコメント」対応は最悪

薬師寺克行

薬師寺克行 東洋大学社会学部教授

 このところ日本国内は「菅首相がいつ辞めるのか」「次期首相はだれになるのか」「民主党と自民党の大連立はできるのか」などといった政局の話題でもちきりだ。一方、欧米諸国の主要メディアは、混乱の続くシリアやイエメンなど中東情勢、それに影響を受ける原油価格や世界経済の見通し、さらには台頭著しい中国の世界戦略や近隣諸国との摩擦など、スケールの大きなニュースが溢れている。

 3月11日の東日本大震災以後、我が国はメディアも政治家も国民も関心が内向きになった。震災復興や原発問題が最大の課題であることは言うまでもない。 

 しかし、国際情勢は日々刻々と動き、それらは決して我々の生活と無縁ではない。とても「情報鎖国状態」ではいられないのも事実だ。

 それに加えて問題なのは、日本が直面している外交問題も完全にストップしていることだ。沖縄の米軍普天間飛行場の移設問題は全く動かず、日米安保体制はますます不安定になっている。菅首相が約束した秋の訪米は誰が行くのか。それ以前に本当に次期首相が訪米できるのかさえはっきりしなくなっている。

 また、6月に方針を打ち出すはずだった還太平洋経済連携協定(TPP)の協議参加問題も先送りされたまま宙に浮いている。秋に予定されているアジア太平洋経済協力(APEC)首脳会議や東アジア首脳会議(EAS)など一連の国際会議で、日本政府が国際社会に何も発信すべきものを持たないまま臨むようなことになれば、国際社会での存在感は失われてしまうだろう。

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