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ギリシャを動かしたEUと市場の「外圧」

脇阪紀行 大阪大学未来共生プログラム特任教授(メディア論、EU、未来共生学)

 奈落の底へ落ちるかに見えたギリシャ政治が、その瀬戸際で踏みとどまった。11月6日、パパンドレウ首相と野党第一党のサマラス党首との会談で、首相の辞任と引き替えに与野党による大連立政権の樹立で合意した。救済案をまとめた欧州連合(EU)からの強い「外圧」を受けての妥協だ。だがこの間に見えてきたのは、欧州の単一通貨ユーロの動揺に対して、十分な対応力を発揮できない政治の力不足だ。

 「日曜はだめよ」。両首脳による6日の会談を聞いて浮かんだのは、1960年にギリシャで制作された作品のタイトルだった。後に文化相になった女優メルナ・メルクーリがギリシャ人の娼婦イリヤを演じ、主題歌はアカデミー歌曲賞を受賞した名作だ。

 世界中のマーケットが注視するギリシャの政局を収拾するのは、この6日の日曜日がぎりぎりのタイミングだった。合意のないまま翌月曜日を迎えれば、国債や株式市場の混乱は確実だった。市場関係者からすれば、ギリシャの政治合意をする日については、「日曜はだめよ」ではなく、「日曜しかだめだ」という気持ちだったのではなかろうか。

 約一時間の会談での合意を聞いた政府報道官は「ギリシャにとって歴史的な日だ」と感無量の表情だったという。外電によると、

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