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イスラエルをゆるぎなく支持するロムニー候補の中東政策

高橋和夫 放送大学教養学部教授(国際政治)

 1月31日火曜日のフロリダ州での投票で、元マサチューセッツ州知事のミット・ロムニー候補が大勝した。これは、今年秋のアメリカ大統領選挙で共和党候補者の指名を争う一連の選挙の一環である。アイオワ州、ニューハンプシャー州、サウスカロライナ州に次ぐ4番目の投票であった。

 最有力候補とされるロムニーは、1月21日のサウスカロライナ州での予備選挙でギングリッジ元下院議長に敗れ、先行きが不安視された。しかし、今回の勝利で、勢いを取り戻した。今後もロムニー候補を軸として共和党の予備選挙が展開される。

 もし仮に、このロムニー候補が共和党の指名を獲得し、さらに秋の本選挙で現職のオバマ大統領に勝つと仮定した場合、アメリカの中東政策は変化するのだろうか。そうであるならば、どのように変化するのだろうか。そろそろ考え始めても良い時期だろうか。

 まずイスラエルへの強い支持がロムニーの中東政策の要である。共和党の支持層の中核であるキリスト教福音派の多くが、聖書に出てくる古代のイスラエルが20世紀になって「再生」したのは神による奇跡であり、聖地全域のユダヤ化がイエス・キリストの再臨の準備となると信じている。この層の支持を取り込もうとすれば、当然ながらイスラエルへのゆるぎない支持が政策となる。

 具体的にはオバマ政権がイスラエルとパレスチナの交渉を仲介し、1967年の国境線が交渉の基本となると表明したのを批判し、ロムニー政権はイスラエルの指導層の意向を反映した政策を採用するとしている。つまり、交渉は当事者同士の話し合いに委ねるわけである。

 またアフガニスタンに関しては、可能な限り早くアメリカ軍を撤退させるべしと主張している。またパキスタンについては、破綻寸前国家として言及し、パキスタン国内の親米勢力との協力を呼びかけている。

 最後にイランについては、

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