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立法補佐機関から考える国会

鈴木崇弘 城西国際大学客員教授(政治学)

 筆者の手元に「立法補佐機関の制度と機能――各国比較と日本の実証分析――」という論文がある。これは、国会議員の公設第一秘書を務める蒔田純さんが書かれた博士論文だ(注1)。

 同論文は、議会や議員の立法における行為や活動を補佐する立法補佐機関を国際比較しながら、日本における実態と特徴を明らかにすると共に、その改善の議論の前提を確認する事例研究である。本記事では、同論文を基にして、日本の立法府について考えてみたい。

 同論文によれば、「日本においては他の議院内閣制国と比較して相当程度立法機関が量的・制度的に発達した状態にあるという事実」(注2)があるが、その制度的発達の実態に見合う機能を果たしているとは言えず、制度と機能の間に乖離が生まれている。他方、このことは、与野党の政党や議員が、程度の差はあるが、官僚を簡単に活用できることと対をなした事象であるとも述べられている。

 このように、同論文は、日本を含む「議院内閣制において議会は実質的な立法の場とはならない、という単純な命題を、立法補佐機関という、従来の政治学分析の対象とはならなかった新たな主体を通して実証したものといえる」(注3)という。

 蒔田さんの定義する立法補佐機関は、日本では、衆議院調査局・参議院調査室、国立国会図書館調査及び立法考査局、衆参議院法制局、政策担当秘書である。

 日本の立法補佐機関は、量や制度では比較的発達しているが、機能が制度実態に即していないということを、蒔田氏の論文を基にみていこう。

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