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平和への対話型「白熱集会」の試み―デモ以外に何ができるのか?

小林正弥 千葉大学大学院社会科学研究院教授(政治学)

 いま、日本政治は大きな分岐点にあるように思われる。一方では、東日本大震災によって改めて助け合いや絆の意義が自覚されるようになり、原発事故によって原発問題・エネルギー問題に対して多くの人びとが関心を深めて、紫陽花革命と呼ばれるような官邸前のデモが新しい現象として注目を集めている。パブリック・コメントや熟議世論調査の結果として、熟考に基づく良質な民意が示された。ここには、新しい良質な民主主義への息吹が感じられる。

 他方では、こういった民意に反して原発を維持しようという動きも見られ、偏狭な国家主義に基づき武力を積極的に行使する政治を復活させようという流れも存在する。そして、日中韓の領土問題が激化して、最悪の場合は、東アジアで武力衝突や戦争が生じる危険も想定せざるをえなくなってしまった。また、総選挙後には集団的自衛権の行使を認めたり、平和憲法を改定しようとする動きも加速する可能性が存在する。

 つまり、ここには平和的に良質な民主主義が発展するか、それとも「戦争ができる国家」へと体制を変革して隣国との武力紛争や戦争という危険を増進するのか、という大きな分かれ道が存在する。次の総選挙では、この2つの流れがせめぎあい、日本政治は大きな分岐点を迎えるだろう。そして、平和か戦争かというこの分岐は、これは世界全体の縮図でもある。

 官邸前のデモは、かつての闘争的なデモと違い、多くの人びとが和やかな気持で自由に参加し意思表明をする新鮮な場として注目された。

 ただ、デモだけでは政策の実現には不充分かもしれない。やはり、人びとが熟議し、政策の実現のために働きかける継続的な運動も必要である。しかも、原発事故後に動き出したような人びとが参加するためには、デモの場合と同じように、新しい時代にふさわしい新形態の運動を創出することが必要だろう。

 そのためには、どのような理念や方法がよいだろうか?

 WEBRONZA白熱教室でも試みられているように、対話は良質の民主主義を実現するための鍵である。同じような対話を平和・環境・福祉の運動においても実現できないだろうか?

 そこで、私たちは7月に対話集会を行い、新しい運動を創出するために、中心的な理念として、友愛に基づいて、平和や、良い環境・福祉を実現することを考え、そのための方式として対話を重視し、祈り・芸術といったアート・オブ・ピースという方法を提起することにした。

 新しい時代にふさわしい運動を実現するためには、まずは広く人びとの対話によって、これらについて練っていくことが望ましいだろう。そのための場として、対話型集会「 友愛平和の風を吹かせるためにーーこれからの平和・環境・福祉運動について考えよう」が10月13日、東京・上北沢で開催される。

 これは、運動における対話を活性化させる新しい試みでもある。白熱教室を思わせるような、白熱集会を実現できれば、良質の民主主義に向けた新しい一歩となるだろう。この集会はWEBRONZAがメディアパートナーとなり、その内容が後日アップされる予定である。

 ここに多くの人びとが集まって様々な創造的な意見が出され、この対話により、新しい継続的な平和・環境・福祉運動が創造されることを望みたい。紹介は以下でご覧いただきたい。

地球平和公共ネットワーク(Network for Global Public Peace)