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石原新党は、政界再編の「起爆剤」になれるか

恵村順一郎

 「石原新党」が旗揚げした。衆参5人からなる「たちあがれ日本」を母体に、「第三極」の結集をめざすという。

 いささか唐突にも見えた、新党旗揚げの狙いは何か。新党に参加する議員のひとりがこう解説する。

 「年内にもある次の総選挙後、さらには来年夏の参院選後を見据え、政党の枠を超えた政界再編、良質な保守を結集した『保守再編』の起爆剤になることだ」

 民主党は、おそらく次の総選挙で大きく議席を減らすだろう。一方、自民党は議席を増やすだろうが、参院選でもう一度勝てるかどうかは分からない。衆参の「ねじれ」は続き、連立の組み合わせが流動化するかもしれない。政党再編も起こりうる。石原新党が総選挙で少なくとも20議席程度を確保すれば、その後の再編劇で触媒の役割を果たしうる……。

 政権交代以降の3年、民主党政権の体たらくをみるにつけ、その民主党政権の足を引っ張ることばかりに汲々とする自民党をみるにつけ、石原新党幹部のそうした思いは分からないではない。

 ただ、だからといって、民主でも自民でもない「第三極」という看板だけで支持が広がるほど、有権者も甘くはあるまい。

 ここで簡単に石原新党旗揚げの経緯を振り返っておこう。

 「新党構想」をいったん白紙に戻していた石原慎太郎代表が、東京都知事を辞職して新党結成に向かう背中を押したのは、日本維新の会代表の橋下徹・大阪市長だった。

 橋下氏は日曜日の10月21日、遊説先の九州から記者をまいて空路、東京入り。その4日後に知事辞職を表明した石原氏と極秘に会い、詰めの協議にのぞんだ。

 石原氏にとって、国政復帰への障害は取り除かれていた。

 先の自民党総裁選で長男の伸晃氏が敗れ、石原新党を旗揚げしても、総選挙で親子が相まみえることはなくなった。みずから火をつけた尖閣諸島の問題も、国費による購入で国内的には一定のけりがついた。猪瀬直樹副知事という知事の後継者もいる。

 橋下氏には事情があった。

 日本維新の会が旗揚げした当初は、次の総選挙で、自前の候補を全国ほぼすべての選挙区に立てる意向だった。だが、報道各社の世論調査などで党勢の失速ぶりがあらわになり、方針転換を余儀なくされた。

 維新の会は西日本中心に候補を立てる一方、東日本は石原新党やみんなの党に任せる。そんな地域割り、役割分担をせざるをえない状況に追い込まれたのだ。

 党どうしの合併とまではいかないが、「第三極」の名の下に、ゆるやかな政党連合、ないしは連携をめざすということだろう。

 この「第三極」構想は、石原新党にとって、強みと弱みの両面がある。

 強みは、維新の会幹部がいうように「東の石原、西の橋下で国に攻め入る」という形がつくれることだ。テレビの党首討論などに石原氏、橋下氏という知名度の高いリーダーが並んで出演すれば、相乗効果も見込めそうだ。

 一方、弱みは

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