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石原慎太郎が日本を変える条件とは――第三極の結集だけでいいのか

鈴木崇弘 城西国際大学客員教授(政治学)

 石原慎太郎氏が、「官僚の硬直した日本支配を壊し」統治構造を改革するというスローガンを掲げて「石原新党」を立ち上げ、民自以外の第三極を結集するとして、東京都知事を辞した。

 筆者も、考え方は異なるが、その趣旨には大いに賛同する。日本のガバナンスの中心は官僚機構だからだ。その点では、みんなの党も、維新の会も方向性としては同じだ。

 だが、石原氏が主張し行動していることは、政党の枠組みだけを変えれば、そのガバナンスの仕組みが変えられるといっているようなものだ。

 筆者は他の記事で何度も書いてきているが、日本の政治や立法・国会の活動は、憲法上「国会は国権の最高機関」といわれ日本の政策決定に最重要な役割を果たしているかのようにメディアでもいわれるが、それはある意味、日本における壮大なフィクションである。実際には、官僚機構が、日本の政治・政策決定をプロデュースし、舞台回しをしているのだ。

 その意味で、政治において単に第三極が結集しただけで、その根本を変えられるとは到底思えない。石原氏の現在の言動だけであれば、脱官僚依存を掲げて、2009年に十分な準備もなく勢いで政権を獲得し、議員だけで国政を仕切ろうとして失敗し、結局は現状のように官僚依存に回帰した民主党と同じ結末が待っているとしか思えない。

 もしその第三極が力を得て、日本のガバナンスを本当に変えていくには、そのための綿密な戦略・戦術とそれらを実現できる実行部隊、サポート態勢(注1)が必要だ。さらに、その極の正統性を担保するために、多くの国民を党員やサポーターとするグループ、広い意味での政治集団が必要だと思う。

 また、そのような状況を現出していくには、石原氏が進める「保守化路線」では、

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