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現地報告:イスラエルのガザ攻撃から1年(上)

進まない住宅再建とイスラエルの経済封鎖

川上泰徳 中東ジャーナリスト

 2014年7月から8月末まで51日続いた、イスラエルによるパレスチナ自治区ガザ攻撃から1年が過ぎた。2200人以上のパレスチナ人が死に、全壊1万戸を含む2万戸以上の住宅が損傷を受けた。

 8月下旬にガザに入り、現地を見た。自治区はイスラエルによる経済封鎖が続き、建設物資の搬入が制限されているため、1年たっても生活の基盤である住宅の再建はほとんど進んでいない。

テントで暮らす人々

破壊の後が広がるガザ市のシュジャーイヤ地区=破壊の後が広がるガザ市のシュジャーイヤ地区=撮影・筆者
 自治区で最も大きな被害を受けたガザ市東部のシュジャーイヤ地区では無残な廃墟が続いている。

 全壊の家の再建が一部始まったものの、ほとんど手つかずだ。

 その中に張られたテントを訪ねると、無職のニダル・アライルさん(39)が4歳から11歳までの5人の子供と妻と住んでいるという。

 テントがあった場所には3階建ての住宅ビル3棟がたち、アライルさんの姉弟や従兄弟など53人が住んでいた。

 しかし、イスラエルの攻撃開始から10日後に始まった地上部隊の侵攻で、アライル家の家は、戦車の砲撃と、空爆による爆弾投下によって3棟とも全壊した。

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