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日韓関係、朝鮮半島情勢と2016年の展望

公開シンポジウム「2016年の朝鮮半島情勢と日本」 

伊豆見元×朴喆熙

 昨年(2015年)12月に沼津市で開かれた公開シンポジウム「2016年の朝鮮半島情勢と日本」(静岡県立大現代韓国朝鮮研究センター主催、朝日新聞社後援)では、伊豆見元・同センター所長と朴喆熙(パクチョルヒ)ソウル大日本研究所長が、昨年の日韓関係や朝鮮半島情勢と今年の展望について語った。約60人の参加者が耳を傾けたシンポジウムの概要を紹介する。

日韓関係、好転する可能性

伊豆見元・静岡県立大現代韓国朝鮮研究センター所長
 50年前の12月18日=シンポジウム当日=に日韓基本条約が発効した。厳しい状況で日韓関係の重要な節目を迎えたが、2015年は一時期相当悪化した関係を何とか無難にやり過ごすことができた。16年の日韓関係は少し前に動く可能性がある。

伊豆見元・県立大現代韓国朝鮮研究センター所長伊豆見元・静岡県立大現代韓国朝鮮研究センター所長
 というのも韓国側の日韓関係を扱う姿勢が変化し、柔軟になってきている。産経新聞前ソウル支局長の朴槿恵(パククネ)大統領に対する名誉毀損(きそん)事件で、ソウル中央地裁が無罪を言い渡した。日本の関係者にとって無罪は驚きで、予想した人はほとんどいなかった。

 日韓関係に配慮した判決を要請する日本側に対し、韓国政府は司法の判断だと言い続けてきたが、最後に180度変わった。司法の独立という点では判決への政治介入は問題だが、日韓関係にとっては大変いい話。今後も韓国側の変化が続き、日韓関係が好転する可能性がある。

 11月にようやく安倍晋三首相と朴大統領の日韓首脳会談が実現した。15年の日韓関係は、日本との歴史問題は韓国の国家原則や正統性に関わるため譲歩できないが、歴史以外は歴史問題から切り離して互いに交流協力するという「2トラック」の動きが顕著になった。日本国内では「韓国は信じられない。いずれ手のひらを返して1トラックになる」という否定的な声が多い。私はこれは「羹(あつもの)に懲りて膾(なます)を吹く」だと思う。

 2月に竹島の日、3月に3・1独立運動の記念日が来る。

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