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著書『柔らかな海峡』執筆後記(上)

ベストセラー1位の意味

金恵京 日本大学危機管理学部准教授(国際法)

“Shoot Niagara”

 アメリカのことわざで、直訳すれば「ナイアガラの滝から飛び降りる」というものがある。意味としては、「清水の舞台から飛び降りる」と同じと考えてもらえれば分かり易い。

 昨年(2015年)末、私は集英社インターナショナル関係者の方々と、そんな思いを胸にWEBRONZAでの論考を中心にまとめた著書『柔らかな海峡――日本・韓国 和解への道』を刊行した。

 このところ、東アジア関連の書籍は「嫌韓嫌中」の立場をとる本が売れており、友好を願うような本は売れないというよりも、そもそも殆ど刊行されていなかった。

同申請書への調印を終え、記念撮影をする日韓の関係者=1月29日、長崎県対馬市朝鮮通信使の世界記憶遺産への共同申請書への調印を終えた日韓の関係者。文化の面での日韓交流は進んでいる=2016年1月29日日、長崎県対馬市
 そのため、敢えて売れない可能性の高い本を出すというのは、書き手であれ、出版社であれ、思わず尻込みをする状況が存在したのである。
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