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「『落日』の資本主義」 水野和夫×白井聡

朝日新聞 関西スクエア 中之島クロストーク

水野和夫×白井聡

 政治学者の白井聡さんがホスト役を務める対談・対論イベント「第8回 関西スクエア 中之島クロストーク」(朝日新聞社主催)が6月11日、大阪市北区の中之島フェスティバルタワーであった。ゲストに元大手証券チーフエコノミストの水野和夫さんを迎え、行き詰まりつつあるように映る資本主義について語り合った。

「成長戦略は間違い」

 白井さんはまず、参院選を前にアベノミクスの是非について問うた。

日本の資本主義について話す経済学者の水野和夫さん(左)とホスト役の白井聡さん=201661111日午後、大阪市北区日本の資本主義について話す経済学者の水野和夫さん(左)とホスト役の白井聡さん=2016年6月11日、大阪市北区
 水野さんは「そもそも成長戦略をとることが間違っている。日本は1990年代半ばから成長できない仕組み」「量的緩和をして国内で投資をしてくれと言っても、グローバリゼーションの下では海外へとお金が容易に出ていく」と答えた。

 白井さんは、自らも水野さんも読んでいるという話題の書『時間かせぎの資本主義』(ヴォルフガング・シュトレーク著)の内容に触れながら、「需要を拡大するため個人に借金をさせてきたが、そのどん詰まりがリーマン・ショック。不良債権化した個人の借金が国家の借金に付け替えられた」と、ここ数十年の世界経済を概観した。

 これを受けて水野さんは「70年代に入り、(米国が金とドルの交換を停止した)ニクソン・ショックや、ベトナム戦争で政治と経済の秩序がおかしくなった。それを打破するための金融自由化やグローバル化だったが、先進国は成長率が上がらず、新興国の代表の中国も過剰生産に陥った」「サハラ砂漠より南では生死のぎりぎりのラインで生活する4億人がいる。ここ30年で、資本主義は70億人すべてを豊かにする仕組みではないことがわかった。ただ、代替案がない」と話した。

 また水野さんは国内政治について、「政府が

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