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森友学園問題でダメージ受ける安倍政権

内閣支持率は低下、政局化する可能性も

児玉克哉 社会貢献推進国際機構理事長、インドSSI大学国際平和創造研究センター所長

 森友学園問題が多くの大物政治家を巻き込み、混迷を深めつつある。森友学園に、国有地が小学校建設用として国の当初の鑑定価格9億5600万円より大幅に安い1億3400万円で売却された。国有地の売却に値引きはあることだが、今回の値引きはあまりに大きい。値引きの根拠は地下に埋まっていたごみ撤去費ということだが、この根拠はあいまいだ。国交省はごみ撤去費用を8億1900万円として値引きしたのだが、これだけ大きな金額をかけてごみを撤去した証拠はない。特別な政治力で大幅な値引きが可能となったのではないかという疑惑が浮上している。

疑惑で名前が挙がる多くの大物政治家

森友学園問題に関連して参院予算委で答弁する安倍晋三首相=3月24日
 この森友学園問題では、多くの大物政治家や官僚の名前が挙がる。

 安倍晋三首相、安倍昭恵首相夫人、稲田朋美防衛大臣、麻生太郎副総理・財務大臣、橋下徹元大阪市長、松井一郎大阪府知事など豪華な登場人物だ。皆、森友学園との特別な関係を否定しているが、土地の値引き等では特別な政治力が動いたとみられており、疑惑は残る。

 特に安倍昭恵氏は「瑞穂の国記念小学校」名誉校長にもなっていたし、2015年9月に講演をした時に、100万円の寄付をしたという疑惑があがっている。籠池氏はこの100万円は「安倍晋三首相からということで受けたと」言っている。これが本当であっても、違法性はなく、普通なら問題はない。籠池氏は3月23日の証人喚問で、このことを再度、明言した。しかし、このことを立証する証拠はなく、安倍昭恵氏も安倍首相も全面的に否定している。もちろん現時点では、寄付をしたかどうかもわからない。昭恵夫人が寄付をしたというのもにわかには信じがたい。関係のある団体は山ほどあるわけで、1つの民間団体に100万円という寄付をすることはまずないはずだ。だが、寄付をしていないという証明は難しく、疑惑は残る。

 稲田防衛大臣も夫と一緒に森友学園の顧問弁護士をしていたことがある。稲田防衛大臣は、夫が顧問弁護士で、連名で名前が載っていただけだと主張している。しかし法廷に「夫の代理として」出廷していたことも明らかになっており、苦しい弁明が続いている。ただこれも違法性はない。稲田防衛大臣が、「全く関与したことがない」と言い切っていために、疑惑として捉えられている。

 明確な関与の証拠はないので、普通なら安倍首相夫妻や稲田防衛大臣にとって大きな問題になるものではない。しかし、森友学園の教育勅語教育などもあり、タカ派と言われる安倍首相や稲田防衛大臣は関連付けられ、批判の的になっている。

支持率は低下、第2次・第3次安倍内閣で最大のピンチ

 これは政局にも影響する可能性がある。2012年12月に第2次安倍内閣が誕生してから、おおむね順風であった。安倍内閣は40~60%の高い支持率を維持し続け、国政選挙も4連勝である。第2次・第3次安倍内閣で最大のピンチが訪れている。

 メディア各社が安倍内閣支持率の世論調査を行っている。以下がその一覧だ。

時事通信調査 支持51.3% (前月比-2.1p) 不支持26.0% (前月比+1.8p)(3月10~13日調査)
NHK調査 支持51% (前月比-7p) 不支持31% (前月比+8p)(3月10~12日調査)
毎日新聞社調査 支持51% (前月比-5p) 不支持31% (前月比+4p)(3月11~12日調査)
朝日新聞社調査 支持49% (前月比-3p) 不支持28% (前月比+3p)(3月11~12日調査)
NNN調査 支持47.6% (前月比-7.3p) 不支持32.9% (前月比+6.9p)(3月17~19日調査)
読売新聞社調査 支持56% (前月比-10p) 不支持33% (前月比+9p)(3月18~19日調査)

 3月第2週の週末での調査では内閣支持率は若干下落しており、3月第3週の週末での調査ではかなり大きく落ち込んでいる。読売新聞社調査では10ポイントも落ちている。

 安倍首相の辞任を要求する声はある。安倍首相は

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