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[108]『タイキョの瞬間』ってさあ…

金平茂紀 TBS報道局記者、キャスター、ディレクター

フジテレビ「タイキョの瞬間!密着24時」で、東京入国管理局がベトナム人女性を摘発する場面=6日の放送から フジテレビ「タイキョの瞬間!密着24時」で、東京入国管理局がベトナム人女性を摘発する場面=2018年10月6日の放送から

10月16日(火) 午前中「報道特集」の定例会議。その後、米中間選挙取材に関する打ち合わせ。沖縄タイムスの連載終了にともない、沖縄からいくつかのメールが寄せられる。

 午後6時半からNY在住のノンフィクション作家・青木冨貴子さんが来日中で、久しぶりにお会いしてお話をうかがう。民主党にはいまだにサンダース上院議員を支持している左派パワーが強いこと、NY州やテキサス州で起きていることが注目とのこと。トランプのアメリカは本当にどこへ行くのだろうか。今週のネタは、サウジアラビアの記者がトルコ領内の領事館で殺害された疑いが強い例の事件について徹底報道するという。

10月17日(水) 朝10時の便で伊丹経由、京都に向かう。同志社大学の内藤正典教授にインタビュー。サウジとトルコ、カタールの関係についてとても面白い視点からの話をうかがうことができた。サウジアラビアが普通の民主国家とは全く違う「サウド家の私有物としての国」という位置づけを忘れてはいけないとも。同志社大学のキャンパスはとても恵まれた環境にあると思った。

 そのまま17時伊丹発の便で東京に戻るはずだったが、空港付近の渋滞で何とわずか3分違いで搭乗が締め切られてしまった。空港のカウンター職員がロボットみたいな対応をとる人で、どうしようもなかった。まいった。18時半からの会合にはもう間に合わない。何と50分遅れで会合場所に到着。本当に申し訳ないことをした。

 会合の後、少々喉が渇いて、神保町のYに向かう。Uさんのことが気になっていたので。するとそこにはドイツ人の男性とその奥さんのロシア人がいて、何やら酔っ払ってお客さんと話をしていた。ロシア語で話しかけると先方が乗ってきて、何やらとりとめのない話を英語とロシア語で続行。入院中のUさんのお見舞いに行かなくては。

アートとは生き方である

10月18日(木) 朝、早起きして「週刊現代」のコラム原稿を書く。そのまま日吉経由で新宿3丁目に出て、K's cinemaという映画館で、岩名雅記さんの映画『シャルロット すさび』をみる。何とも形容しがたい。ここまで無防備な自意識の表出は、ほとんど個人映画というか。何だか大昔の金井勝の映画のテイストみたいなものを感じた。つまり時間が停止したかの如く60年代的なのだ。うむ。

 同業者のあいだでも強い批判が出ているフジテレビの『タイキョの瞬間!密着24時~出て行ってもらいます!』のDVDをSさんから借り受ける。

 森美術館で開催中の『カタストロフと美術のちから』。強い衝撃を受けた。当時は正直、強い反発を抱いていたChim↑Pomの福島第一原発事故直後(2011年3月19日撮影)のパフォーマンス映像は、それこそ「美術という行為とは何か」「美術のちからとは何か」という根源的な問いを突きつけてくる。この展示会場に掲げられていたスローガンのひとつに<アートで何ができるか?ではなく アートで何をするか!である。>とあった。畠山直哉の写真や池田学の作品、アイザック・ジュリアンの『プレイタイム』にも引きこまれた。アートとは生き方である。だから今日は1日中、アートに浸ることにした。

 19時30分から吉祥寺で本当に久しぶりに「渋さ知らズ」。予想に反してお客さんが少ない。1階のフロアでいきなり不破大輔さんたちが車座を組んで酒盛りのようなものをやっているではないか。僕は2階バルコニーの最前列の席に陣取った。オールスタンディングの1階はちょっと今日は僕にはしんどい。いろいろあってそういう気分ではなかったのだ。1時間遅れでN君が来た。何しろ、「渋さ」は、演奏とパフォーマンスとそのこころざしにおいては、今の日本では最もパワフルな集団であることは間違いないと思う。不破さんにステージに引きずり出されそうになるが、ちょっと今日の所はしんどかったのでお断りした。僕なんかが出る幕ではない。彼らの演奏が突出して楽しすぎて。

『タイキョの瞬間』、何というひどい…

10月19日(金) 朝、プールで30分以上じっくりと泳ぐ。泳ぐことは、心身のバランス上で欠くことができなくなってしまった。いくつかの書きもの。雑務もろもろ。

 『タイキョの瞬間』のDVDを見て呆れ果てる。この

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