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[135] 平成最後の日々に向け、まったりと

金平茂紀 TBS報道局記者、キャスター、ディレクター

4月23日(火) 午前中「報道特集」の定例会議。頭の中を風が吹き抜ける。その後、調査案件で、一ツ橋のホテルにて原武史さんへのインタビュー取材。皇室研究の中では信頼するに足る数少ない人物のひとりだ。いわゆる天皇研究者のレベルがこのところ劣化の速度がひどい。インタビュー後に、神田のやぶそばで飲食をしながら原さんとしばしの懇談。

 夜、早稲田のジャーナリズム研究の件で学生と話をする。世の中は同時進行でさまざまな出来事が起きている。中国でも一時的に富を手にした人が、次の瞬間にはその富を失って凋落していく。ゴーン日産前会長の追起訴。保釈請求。検察側の準抗告。裁判所が保釈申請にどのような判断をするのか要注目。

4月24日(水) 早起きをして局へ。その後、都内で大事な打ち合わせ。13時から、木内みどりさんが出演されている映画『こはく』をみる。なかなかの佳作。

 早稲田大学でマスターの進路指導の一環としての制作系合同研究指導会。発表にはなかなか興味深いものがあったが、担当している一人の院生のケースで予期せぬトラブルがあった。自分にも責任がある。学生をencourageするのが研究指導会ではないのか。いろいろと思うところがあった。とにかく今は学生をencourageすることだ。

木村伊兵衛写真賞を受け喜ぶ岩根愛さん=24日午後6時49分、東京都千代田区の如水会館木村伊兵衛写真賞を受賞した岩根愛さん=2019年4月24日、東京都千代田区の如水会館

 その後19時50分から一ツ橋の如水会館で、写真家・岩根愛さんの木村伊兵衛写真賞受賞記念パーティーに駆けつける。もう中締めに近い時刻になってしまった。今朝のメールで知って駆けつけたのだが前の予定が押した。岩根さんとは、その昔、ゴールデン街の故・奈美さんの店でご一緒したことが何度かあったなあ。いつも奈美さんに説教されていたようだ。僕がアメリカにいた時、奈美さんの葬儀の写真を送ってきていただいたのだが、その写真の記憶が強烈だった。パーティーは大盛況のうちに進行していた。会場で石内都さんに久しぶりに会う。桐生に移られて1年になったという。

 何だかいろんなことが起きた一日だった。少々疲れた。夜、Mより電話。院生のケアをしてくれていた。こういうまともな人間がいることに、まだ希望が残っている。

玉城デニー知事&元山仁士郎さん、いいなあ

4月25日(木) 早起きして諸準備。横浜の某所できわめて重要な取材。わずか30分だったが神経を集中したのでとても疲れた。何と言うかなあ。極限的な状況認識を維持したままだった。

 午前11時21分、ゴーン前会長の保釈を認めるとのニュース速報が入る。保釈金5億円。今日中に保釈されることになるだろうとの見通し。その後、国際文化会館でノンフィクション作家・保阪正康さんへのインタビュー取材。

 その後、渋谷に移動。打ち合わせ。時間が少しばかりできたので、新宿のニコンプラザで岩根愛さんの写真展「KIPUKA」に飛び込んで観る。これは実にスケールの大きな渾身の仕事だ。福島→日系ハワイ移民→盆踊りの継承→福島第一原発の過酷事故→避難民という名の追放→盆踊りの継承……まるでガルシア・マルケスの小説みたいな想像力の拡がりではないか。ハワイと福島が盆唄によって数世代にわたり繋がっているのだ。

 18時から早稲田大学での玉城デニー知事&元山仁士郎さんの合同講演会。2人とも本当にGreat Communicatorだ。こういう政治家が出てくるとは、沖縄の多様で豊かな文化の証左。デニー知事は講演の最後に、官房長官が「令和」の文字を示したのと同じポーズで、東急東横店で開催されている「沖縄物産展」のチラシを掲げていた。「皆さん、沖縄物産店にぜひとも行ってくださいね」。いいなあ。元山さんもハンガーストライキの最中に、ハンガーストライキの意味を解さない一人のおばあが

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