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眞子さまのご結婚と皇位継承の問題

国民一般から祝福される結婚となるために

登 誠一郎 社団法人 安保政策研究会理事、元内閣外政審議室長

 この2年来、週刊誌やテレビのニュースショーにおいて話題とされている眞子さまと小室圭氏との結婚問題は、皇族の結婚という視点からのゴシップ的な好奇心で取り上げるのではなく、一個人の幸せとは何かという根本的な問題であると同時に、皇位継承に関係する重要問題でもあるとして捉える必要がある。

 すなわち、現在の皇室典範によると、女性皇族は結婚により自動的に皇籍を離れるので皇位継承問題は生じないが、天皇退位に関する国会決議に従い、近く、安定的皇位継承についての国民的議論が始まると、当然、女性天皇・女系天皇並びに女性宮家創設の問題が議論されることになるので、眞子さまのご結婚の有無とその時期は、皇位継承の問題と切り離して考えられないのである。

眞子さまの「皇位継承順位」

 現在の皇室典範に基づく皇位継承順位は、①秋篠宮さま、②悠仁さま、③常陸宮さまであるが、女性天皇・女系天皇の容認を提言した2005年の有識者会議の報告書に従うと、この順位は、①愛子さま、②秋篠宮さま、③眞子さま、④佳子さま、⑤悠仁さま、⑥常陸宮さまの順となる。

干支にちなんだ置物を前に歓談する天皇、皇后両陛下と長女愛子さま、上皇ご夫妻、秋篠宮ご一家=2019年12月12日、赤坂御所、宮内庁提供

 近い将来、この提言の内容に沿った形で皇室典範が改正され、女性・女系天皇及び女性宮家の創設が容認されるかどうかは定かではない。

 しかし、国民の7割以上がそれを是認しているとの世論調査の結果を考慮すると、この新たな制度が、眞子さまと小室氏の結婚問題が決着する以前に実現する可能性も排除できない。

 これの意味することは、天皇陛下と秋篠宮さまの次の世代の皇位継承順位は、愛子さまの次が眞子さまになるのであり、将来愛子さまが天皇になられた後に、万が一お子様ができない場合には、次の天皇は眞子さまになるが、これは国民大多数の想定しているところであろうか。

 秋篠宮さまは一昨年11月の誕生日会見において、納采の儀を行うための条件として、小室家の「金銭問題の解決」及びお二人の結婚についての「国民の祝福」を挙げられた。さらに昨年11月の誕生日会見においては、「次の2月で納采の儀の延期決定から2年になるので、何らかのことを発表する必要がある」と述べられた。

 この2月に秋篠宮さまが発表されることは、お二人にとってだけではなく、皇位継承問題に関しても重要な内容を含みうると考えられる。

皇籍離脱と一時金

 眞子さまと小室氏のお二人の心の中も、また秋篠宮さまの現在の心境も誰も知ることが出来ない。

 しかし、2年間全く会うこともなく離ればなれになっていても、心が通じ合っていると判断される状況に照らすと、お二人の結婚の意思が強固なことは疑いの余地もない。

 この問題で最も重要なことは、眞子さまの真に幸せな結婚ということである。秋篠宮さまは、ふたりの意思を尊重するとのご判断から、小室家の「金銭問題」の解決という条件を付けるとしても、結局、この結婚をお認めになるのではないかと思われる。私はそのご判断は誠に正しいと考える。

 しかし、皇族の結婚となると、本人同士や家族の意向だけではなく、秋篠宮さまご自身も述べられているように、国民一般から祝福される結婚でなければならない。特に、1億5千万円近いと推計される多額の「一時金」が国庫予算から支出される場合には特にそうである。

婚約が内定し、記者会見する眞子さまと小室圭さん=2017年9月3日、東京・元赤坂の赤坂東邸

 お二人が国民の理解と祝福を受けつつ結婚する方法はあるのであろうか?

 その一つの答えは、眞子さまがまず皇族の立場を離脱し一民間人となった後に、多少の時間をおいてご結婚されることである。

 その法的根拠は、皇室典範第11条1項の「年齢15年以上の内親王、王及び女王は、その意思に基づき、皇室会議の儀により、皇室の身分を離れる」との条項に見出し得る。これは、結婚による皇籍離脱を規定した皇室典範第12条とは別の条文である。1947年の11宮家の皇籍離脱の場合を除いて、この条文が適用された例はないが、この規定は皇室制度の民主的側面を象徴するものとして重要である。

 具体的には、眞子さまが、ご自分の意思により皇族の身分から離れたうえで、一民間人として渡米、就職して小室氏との結婚の準備をすることである。

 この形を取っても皇籍離脱には違いないので、法的(皇室経済法第6条)には国庫からの「一時金」は支払われるが、眞子さまがその一部を辞退(あるいは有益な目的への寄付)することは可能であろう。

国民の祝福を得るために

 眞子さまはその明るく朗らかなご性格から、もともと国民多くの好感を得ており、このような形を取ったうえで、さらに皇籍離脱と結婚の間に一定の時間の経過があれば、週刊誌のバッシングなども薄れて、国民の祝福を得てご結婚できると確信する。

 皇籍離脱とは公的な立場がなくなることであり、私的な立場である親子関係、家族関係には何の変化もない。むしろ国民の祝福を受けた結婚により、親子関係の絆も強まるのではないかと思う。

紡ぐプロジェクトの特別展「両陛下と文化交流―日本美を伝える―」で、展示を鑑賞する秋篠宮ご夫妻と長女の眞子さま、次女の佳子さま=2019年4月15日、東京都台東区の東京国立博物館

 また当然のことながら、女性天皇・女系天皇が認められるようになっても、

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