「スピード感」をキーワードに内閣が迅速に動き始めるなか、臨時国会が26日に召集
2020年10月21日
菅義偉政権の誕生から1カ月が経ち、26日には臨時国会が召集されます。菅首相にとっては初の本格的な国会で、政権の方針表明ともいえる所信表明演説がおこなわれます。
菅内閣の閣僚たちはすでに全開モード。「スピード感」をキーワードに、デジタル化や携帯電話料金引き下げなど、国民の生活に直結する政策について迅速に動き始めています。その一方で、日本学術会議の任命拒否や中曽根康弘元首相の内閣・自民党合同葬における1億円支出など、論争になるネタも見えてきました。
来秋の衆議院議員の任期満了まで1年を切るなか、本稿では来週から始まる臨時国会の見どころ、そして永田町の国会議員や選挙コンサルタントである私の最大の関心事である、衆議院の解散・総選挙の展望について、考えていきたいと思います。
9月の政権発足時、メディア各社の世論調査で軒並み60〜70%の高支持率を記録していた菅内閣ですが、1カ月後の10月の調査では各社ともおおむね数ポイント下がり、支持率は55〜65%程度となりました。不支持率も20%前後と前月から数ポイント上昇し、内閣発足の“ご祝儀相場”は終わりつつあります。
そんななかで迎える臨時国会では、まず菅首相の所信表明があり、衆参本会議での各党党首による代表質問が続きますが、このところ世間を賑わせている日本学術会議の会員任命拒否問題では政府側の説明が十分ではないとの世論が強く、冒頭から与野党で論戦となる可能性が高まっています。
カギとなるのは、杉田和博・内閣官房副長官の予算委員会出席と質疑が実現するかどうかでしょう。第2次安倍晋三政権以降、官房副長官として内閣官房の事務方トップを長く務めた杉田氏を、野党は安倍政権から続くさまざまな問題の「本丸」ととらえて、総攻撃をかけたい考えです。
杉田氏は警察官僚から内閣官房副長官となり、最終的には政界進出して副総理にまで上り詰めた故・後藤田正晴氏が内閣官房長官だったときの秘書官(事務取扱)でしたが、まさに同じようなキャリアパスを築いてきたことを考えれば、後藤田の異名「日本のアンドロポフ」とは言わずとも、安倍・菅内閣のコアであることは誰の目にも明らかです。安倍政権の「負の遺産」までを継承したということになれば、安倍政権後期の悪印象を菅政権にも転写することができ、野党には格好の好材料となります。
とはいえ、危機管理に強い杉田氏が易々と野党から攻撃されるとも思えず、臨時国会という限られた時間の中でどこまで野党がこの問題に追及できるかが序盤戦のみどころとなりそうです。
衆参本会議における代表質問の直後には、大阪都構想住民投票(11月1日投開票)とアメリカ大統領選挙(米国時間11月3日投開票)が立て続けにおこなわれます。大阪都構想住民投票は賛成が有利、アメリカ大統領選挙はバイデン候補が有利とそれぞれ報道されていますが、いずれも接戦であることには違いなく、臨時国会2週目はこれらの結果待ちの様相となるのは必至です。
とりわけアメリカ大統領選挙は、トランプ氏に不利な結果が出た場合、郵便投票を巡って不正選挙を主張する可能性が高く、投開票日当日に勝者が決まらないどころか、数日から数週間にわたって政治的混乱が続く可能性があります。
4年前にトランプ氏が大統領当選を果たしたときは、まだ就任前の2016年11月に先進国首脳としてははじめて安倍首相(当時)が直接1時間半も会談し、信頼構築の基礎を築きました。これが結果的に安倍外交の推進に寄与したことは記憶に新しいですが、今回はアメリカ大統領の決定が遅れることが見込まれるほか、こと外交に関しては安倍政権と比べて不安視される菅総理ということもあり、今後の日米関係にも関わる外交の基本戦略をどう定めるかが、早々に問われることになりそうです。
仮に、想定外のことが起きた場合にはどうなるでしょうか。
まず大阪都構想ですが、
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