メインメニューをとばして、このページの本文エリアへ

野党の皆さん、お間違えなく! SNSは情報発信ツールではなく、共感の場です!!

総選挙のカギを握るSNS活用と野党共闘

Dr.ナイフ @knife900

 最近「これからはSNSの時代だ!」と言った政治家がいたそうですが、選挙区で言わないほうがいいです。落選しますよ!

 冗談はさておき、今やツイッターなどのSNSを活用して発信力強化に取り組んでいる政党や議員はたくさんいます。しかし一人の有権者の視点で言わせていただくと、SNS活用が上手な議員とそうでない議員の差はけっこう大きい。それは結果的に政治家としての力の差に影響してきているように思います。

 昨今、盛んに行われる#ツイッターデモ。SNSとニュース、テレビなどマスメディアとの連動を鑑みると、いま政治をとりまく世論を最先端で形成しているのはSNSではないでしょうか。

 そのような状況の中で、政治の世界においてSNSをどのように活用したらよいのか。僭越ながら幾つかヒントになりそうな話を書かせていただきます。

フォロワー数とエンゲージメント

 最初に一番大切だと思う概念を書きます。

本質的にSNSは情報発信メディアではない

 いきなり「えっ?」って思う人がいるかもしれません。

 しかしSNSを情報発信メディア、情報発信ツールと考えると、いろいろと、上手くいかないのです。

 SNSでフォロワー数を気にする人がたくさんいます。

 何千、何万、何十万とフォロワーがいたら、何かつぶやくと、瞬時に多くの人に伝わると考えがちですが、そんなことはありません。

 SNSはテレビや新聞のように、多くの視聴者や購読者を集めて、広く情報を伝える媒体でもツールでもありません。

 媒体でもツールでもないとしたら、一体何でしょう。

 僕は、SNSは「場」であると考えています。

 何か共通の関心事があり、それについて意見を交換したり募ったりする「場」。

 リアルタイムにその場に集まらなくていいので、時空を超えた「場」ともいえます。

 SNSがそのような、時空を超えたコミュニケーションの「場」だとすると、その「場」で大切なのは「共感力」です。

 この共感力をSNSではエンゲージメントといいます。

エンゲージメント=共感力=相手との「つながり」や「絆」

 各種SNSサービスが「いいね」機能を持っているのは、そのためです。

 自分のつぶやきに共感を得て「いいね」を貰ったり、貰ったコメントに「いいね」することで出来る「つながり」「絆」。

 もちろん中には反対意見もあります。しかし反対意見もひとつの「つながり」であると僕は考えています。相手から関心を持たれなければ反対意見も貰えません。だから反対意見があっても簡単に相手をブロックしないでください。反対意見も相手の関心、ひとつの「つながり」と考えるほうが有益です。

 僕もブロックはたまにしますが、それは迷惑行為に限ります。(人間なので、たまには感情的になって議論した相手をブロックすることもありますが、後で反省してこっそりブロックを解除します)

 SNSではフォロワー数がやたら多いのに「いいね」がいつも少ない人がたくさんいます。反対にフォロワー数は少ないのに、いつもたくさんの「いいね」を貰っている人がいます。これはフォロワーとの間にエンゲージメントが築けているかどうかの違いです。

 フォロワーは「数」ではなく「質」なのです。テクニックやノウハウで作れるものではなく、とても地道な活動の結果なのです。

 僕自身、自分の発信に何かコメントをくれたり、「いいね」や「リツイート」をしてくれた人は積極的にフォローします。その人とは強いエンゲージメントを築ける可能性が高いからです。相手のフォロワー数とか発信数はあまり関係ありません。自分の意見に関心を持ってくれる人とは、良いフォロー/フォロワー関係になれる可能性が高いのです。

 SNSはけっして情報を広めるための魔法のツールではありません。

 SNSは「共感」できる仲間を増やすツールなのです。

 今の時代において、政治家と有権者とのよい関係のキーワードは「共感」です。強いカリスマを持つ政治家と信者の関係でありません。

SNS活用がうまい国会議員

 SNSを使っている国会議員は多いですが、上手く活用している議員と、そうでない議員がいると冒頭に書きました。具体的な名前を出して申し訳ありませんが、僕がSNSの使い方が上手いと思う議員を数名あげます。

武井俊輔氏(自由民主党)、蓮舫氏(立憲民主党)、志位和夫氏(日本共産党)、玉木雄一郎氏(国民民主党)、山本太郎氏(れいわ新選組)、福島みずほ氏(社民党)

 他にも多くいらっしゃいます。特に日本共産党は上手い人が多いように思いますが、いろんな政党からピックアップさせていただいました。

 SNSをうまく使っている国会議員に共通するのは、一方的なアナウンスではなく、フォロワーに自分の言葉で語りかけていること。事務的でなく義務でもなく、一人の人間、政治家として自分の言葉で語りかけている。自分の活動を地道に伝えている。誰とは言いませんが、秘書とか広告代理店に書かせているという噂のあるアカウントもありますが(某前総理大臣)、まったく伝わりませんし、逆効果だと思うんですよね。

野党共闘に向けたSNS活用の提案

 僕はツイッターでも宣言しているように、日本でも二大政党が必要だと思っています。次の衆議院選挙では、野党が大きな塊になって与党と対峙することを願っています。

 今の野党の課題としては、情報発信が弱いということです。

 各野党は考え抜いた政策とビジョンを持っています。各党はそれを一生懸命に発信をしていますが、まったく伝わっていません。情報発信をやっていないのではなく、やり方に問題があるのです。

 テレビなどマスメディアは野党を「批判ばかり」「対案がない」としか伝えません。全く違っていますが、これをいつまで嘆いても仕方ありません。自分たちで打破するのです。

 いままでに述べたように、野党は「情報発信」ではなく有権者との「コミュニケーション」にシフトすべきです。有権者を振り向かせ、会話に参加させるのです。

fizkes/Shutterstock.com

 ひとつ提案しますが、次の衆議院選挙に向けて、野党は各政党が個別に発信するのではなく、野党共同でSNSを使って有権者とコミュニケーションを図ってはいかがでしょうか。

 有権者の興味を得るには、面白い仕掛けも必要です。SNSの中で「野党共同で影の内閣」を作るというアイデアは面白いと思いませんか。

 「野党共同で影の内閣」の人事発表。影の総理、影の大臣からメッセージを毎日交代で発信するのです。そしてSNSにいる多くの野党支持者が、それにコメントしたり、拡散します。きっと盛り上げると思います。盛り上がればマスメディアも無党派層も無視できません。

 もう一度言いますが、バラバラでは伝わりません。野党が一体になって取り組むのです。

話題の音声SNS「Clubhouse(クラブハウス)」について

 最後に、いま大きな話題を呼んでいる最新SNS「Clubhouse(クラブハウス)」について少しだけ触れます。

 「Clubhouse(クラブハウス)」は音声に特化したSNSです。2021年1月後半から日本でサービスが始まり、急速な広がりをみせています。

「Clubhouse(クラブハウス)」の特長
・声で発言できるため、文章が苦手な人でも発信しやすい
・一度に大勢の人に聞いてもらえる(いまの仕様では最大5000人)
・参加者からも声で意見を聞ける
Boumen Japet/Shutterstock.com

 このサービスを知った時、真っ先に思い浮かんだのが「ネットの街頭演説」です。

 いまでも街頭演説をライブや録画で動画配信することは行われています。しかしクラブハウスを使えば、スマホだけで多くの聴衆に向けて演説することができるのです。そして聴衆から意見を貰うことも出来ます。

 もちろんリアルの街頭演説の価値が減るわけではありません。いままでの街頭演説に加えて、有権者と声でコミュニケーションできる機会が増えるのです。

 政治家にとって言葉は命です。

 「Clubhouse(クラブハウス)」は、そんな言葉を大事にする政治家にとって、有益なツールになると思います。