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武田良太総務大臣にこそこそ逃げられた

[234]『街の灯』生オーケストラ、武田総務大臣会見、オンエア中に東北で地震……

金平茂紀 TBS報道局記者、キャスター、ディレクター

3月17日(水) 世界的チェリスト、ヨーヨー・マがワクチン接種後に会場で即興演奏をした映像をみる。彼が近年発しているメッセージは、中国系アメリカ人アーティストとして、きわめて勇気のあるものが多い。そう言えば、日本では菅首相が腕まくりして接種を受ける場面もマスメディア用に撮らせていたなあ。

 朝、プールへ行き泳ぐが、鼻かぜを引いたのか、あんまり調子がよくなくて途中でやめる。必要な書類をとるために銀行の窓口をいくつか回ったが、コロナ対策の名分で「予約なしの窓口ご来店は基本的にはお断りいたしております」、あるいは「ご予約のお客さま優先で待っていただくことになります」とか言われる。ひと昔前の銀行窓口とは対応がすっかり様変わり。今月末で閉まる赤坂「榮林」にM、Kさんと。これから先の岡山や大分、長崎での予定を調整する。

 日米安全保障協議委員会、いわゆる「2+2」終了後の記者会見をみる。柱は、対中国強硬姿勢の確認だ。「中国が威圧・強制を以て自身の言い分を通す(gets its way)時には、我々はしかるべく押し返す(pushback)」(ブリンケン国務長官)。

 けれども僕がとりわけひっかかったのは、茂木、岸の日本側両大臣がわざわざ沖縄・辺野古について言及し、「普天間飛行場の固定化を避けるためには、辺野古への移設が唯一の解決策であることを改めて確認した」(茂木外相)、「辺野古への移設が普天間飛行場の固定化を避けるための唯一の解決策であることを改めて確認した。私から埋め立ての進捗状況を説明し、同建設の早期完了を図っていくことにつき4閣僚で一致した」(岸防衛相)と強調したことだった。沖縄向けのむごいメッセージだ。ブリンケン、オースティンの両長官からは辺野古について何の言及もなかった。その後の記者からの質問もあっさりと終わってセレモニー色の強いショーだった。

 樂舎のYさんから映画『すばらしき世界』の興行収入が5億2000万円を突破したとの朗報。よかった、よかった、このコロナ禍の映画状況で。

 夕刻、すみだトリフォニーでチャップリンの『街の灯』を新日フィルの生オーケストラで聴くという贅沢企画。90年前のこのセリフのない無声映画が、2021年の映画をはるかに超えているところが映画という仕掛けの素晴らしさだ。クライマックスでいきなりThe Endとなる作りは、夢=虚構をいきなり現実に連続させるという強引なパワーそのもの。小賢しく感動を引っぱらない潔さ。何とシンプルできっぱりとした構成か。劇中で使われた音楽はすべてチャップリン本人の作曲だ。何という才人だったのだろう。新日フィルの演奏もよかった。

合同ヒヤアリングに出席した財務省幹部ら=撮影・筆者『街の灯』を生オケで=すみだトリフォニーホール、撮影・筆者

 札幌地裁で、同性婚を認めないのは、法の下の平等をうたった憲法違反との初判決。これ、すごく画期的じゃないのか。

首相記者会見がNHKの7時のニュース時間帯に

3月18日(木) 「神奈川大学評論」の最終校正。米アトランタ州でアジア系マッサージ店が銃を持った男に襲撃され8人が死亡。うち4人が韓国系アメリカ人。アジア系に対するヘイトクライムか。

 社主の中里英章さんが急死された出版社・七つ森書館の件で幾つか困ったことがある。保管いただいていた著書150冊くらいが行方不明になってしまっている。手を尽くして探すが……。

もう入手困難になってしまった本もう入手困難になってしまった『漂流キャスター日誌』(七つ森書館)=撮影・筆者

 あしたの武田良太総務大臣の取材の準備。Kディレクターより連絡あり。朝早くからの取材になるか。19時から、首相記者会見。冒頭「埼玉県、千葉県、東京都、神奈川県について、3月21日をもって緊急事態宣言を解除することを決定いたしました」と。極論すると、これがすべて。あとは本当に空疎な内容の記者会見だった。

 問題は時間設定である。NHKの夜7時のニュース時間帯にもろにぶつかる形で設定されたので、延々と1時間をはるかに超えてNHKは通常ニュースを全部ぶっ飛ばして会見を中継していた。首相記者会見は、言うまでもなく、数あるニュースのなかのone of themである。今後、この19時からという時間設定が固定化されるたびにNHKは電波ジャック状態になるのだろうか。

 22時49分、河井克行被告が議員辞職の方向との速報。何があったのだろうか。徹底抗戦から全面撤退への転換。

姿を現さない武田大臣、限りなく情けない気持ちに……

3月19日(金) 朝早く、国会前でKディレクター&カメラクルーと合流。武田総務大臣の院内での記者会見をカバーするためである。午前9時からの参議院予算委員会への出席が予定されているので、その前に短時間しか猶予がない緊迫した状況下での会見となることは百も承知だ。おおむね午前8時40分から15分あるかないか、か。場所は参議院議場前、議員食堂側廊下だ。

 KディレクターやOカメラマンと十分に打ち合わせをして、待つ。大臣のすぐそばの最前列の場所に陣取って立ち続けていた。僕が質問できてもせいぜい1問だろう。これまでの武田総務大臣の国会内外での発言は明らかに破綻している点があった。国民の疑惑を抱くような会食はしていないと答弁するや、週刊文春にNTT社長との会食をすっぱ抜かれた。「ここに至るまでの総務大臣としての言動は適切だったとお考えですか?」。たったこれだけの質問をぶつけるために待った。やたらと大臣におつきの総務省職員の数が多い。不穏な空気を感じた。

 ほぼ8時40分から会見が始まった。手を上げ

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