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「論座」は入管・難民問題とレイシズムを考えます~安田菜津紀さん、ポッドキャストに出演

松下秀雄 朝日新聞山口総局長・前「論座」編集長

 名古屋出入国在留管理局で今年3月、収容されていたスリランカ人女性、ウィシュマ・サンダマリさん(当時33歳)がなくなりました。「論座」はウィシュマさんの死をきっかけに注目が集まった日本の入管行政や難民受け入れ問題、その根っこにあるレイシズムなどについて考える企画をお送りします。

 まずは、フォトジャーナリストの安田菜津紀さんに朝日新聞ポッドキャストでお話をうかがいました。ぜひお聞きください。

朝日新聞ポッドキャストの収録に臨む安田菜津紀さん=2021年7月15日、朝日新聞東京本社朝日新聞ポッドキャストの収録に臨む安田菜津紀さん=2021年7月15日、朝日新聞東京本社

 論座がこのテーマにとりくむのは、これは入管の問題であると同時に、私たち自身の問題でもあると考えるからです。

 安田さんが執筆し、2019年2月23日に論座で公開した「妊娠中の妻の傍らにいたい 入管と長期収容を考える」という論考があります。入管施設に収容され、仮放免になったクルド人男性A.Yさんの言葉が紹介されています。

 「入管内での人権問題は、日本ではあまり知られていないと聞きました。誰も気にしないからこそ、力を持っている人々が違反を繰り返すのでしょう」

 論考は、こう続きます。

 だからこそ知ることで歯止めをかけてほしい、とA.Yさんは強調する。……今、私たちの目の届かない密室空間で何が起きているのか。私たちが知ろうと勉めない限り、それは壁の向こう側での出来事のまま、社会の片隅に追いやられ、なかったことにされてしまう。

 「外国人」のこと、「不法滞在者」のことだと感じるから、関心をもちにくいのかもしれません。しかし、そこにいるのはなんらかの事情で在留資格を失うなどしただけの、同じ人間です。

 「誰も気にしない」から人権問題が起きるのだとすれば、そして知ることで歯止めをかけられるのだとすれば、これは「ひとごと」ではなく、私たち自身の問題、「わがこと」ではないでしょうか。

 そこで論座は今後、運動の先頭に立つ若者や専門家、当事者にポッドキャストでお話を聞いたり、オンラインイベントを開いたりしていきます。イベントでは、差別や偏見を助長する言葉や表現を取り上げ、どうすべきなのかを視聴者とともに考える試みもしてみたいと思っています。もちろん、関連する多様な論考もご紹介します。

 こちらの記事や、関連する論考にコメントをいただければ、その一部を次回以降のポッドキャストなどでご紹介しようと思います。ぜひ、このとりくみにご参加ください。

左から安田菜津紀さん、論座・松下秀雄、朝日新聞ポッドキャスト・神田大介=2021年7月15日、朝日新聞東京本社左から安田菜津紀さん、論座・松下秀雄、朝日新聞ポッドキャスト・神田大介=2021年7月15日、朝日新聞東京本社