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防衛装備の調達・輸出強化が急がれる理由

新安保文書に装備関連が「防衛力そのもの」と盛り込まれたのはなぜか

山下裕貴 元陸将、千葉科学大学客員教授

 昨年12月に策定された「国家防衛戦略」及び「防衛力整備計画」には、「いわば防衛力そのものとしての防衛生産・技術基盤」との項目があり、その重要性について説明し、具体的な施策の方向性を示している。

現状に強い危機感抱く政府

 防衛省の説明資料によれば「自国での装備品の開発・生産・調達を安定的に確保し、新しい戦い方に必要な先端技術を防衛装備品に取り込むために不可欠な基盤、いわば防衛力そのものと位置づけ、強化は必要不可欠である。新たな戦い方に必要な力強く持続可能な防衛産業の構築、リスク対処、販路拡大等に取り組む」としている。

 具体的には次の通り。

(生産基盤の強化)
〇適正な利益確保のための新たな利益率算定方式の導入による事業の魅力化
〇サプライチェーン全体を含む基盤の強化、新規参入促進施策の推進、国自身が製造設備
等を保有する形態の検討
(防衛技術基盤の強化)
〇防衛産業や非防衛産業の技術を早期装備化につなげる取り組みを積極的に推進
〇我が国主導の国際共同開発、民生先端技術を積極活用するための枠組み構築
(防衛装備移転の推進)
〇防衛装備移転三原則や運用指針を始めとする制度の見直しについて検討
〇官民一体となった防衛装備移転の推進のため、基金を創設し企業支援

 過去の防衛大綱などを見ても、ここまで踏み込んで防衛産業について書かれた文書はなく、防衛産業の置かれている現状に政府が危機感を抱いた証左である。

部隊の装備を視察する岸田文雄首相=2021年11月27日午後0時42分、陸上自衛隊朝霞駐屯地、代表撮影部隊の装備を視察する岸田文雄首相=2021年11月、陸上自衛隊朝霞駐屯地、代表撮影

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