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「鎮守の森」のエネルギーコミュニティー (下)

広井良典

広井良典 京都大学こころの未来研究センター教授(公共政策・科学哲学)

前回、「比較的小規模の自然エネルギーをローカルなコミュニティに分散的に配置する」という方向を述べたが、このローカル・コミュニティということで私が思い起こすのは、全国にある神社やお寺の数はそれぞれ約8万1千、約8万6千という事実である。

 中学校の数は約1万なのでこれは大変な数で、私はこの数字を最初に知ったときにずいぶん驚いたのだが、考えてみれば、神社やお寺は、古い時代において、まぎれもなく「コミュニティの中心(ないし拠点)」として存在していた。それは単に「宗教施設」であることを超えて、たとえば、その周辺で「市」が開かれて商業が営まれるという経済機能、「寺子屋」などのような教育機能、そして「祭り」に象徴されるようなコミュニティの祝祭的連帯の確認などの機能なども果たしてきたのである。

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