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震災で垣間見る日仏米価値観の温度差

須藤靖

須藤靖 東京大学教授(宇宙物理学)

 昨年11月末まで約2年間私の研究室に滞在していたフランス人研究者が、5月に3週間ほど来日した。久しぶりにお好み焼きを食べつつ一緒に飲んだときの話題はやっぱり東日本大震災。

 多くのフランス人が驚いた事実として彼が挙げたのは、1)避難所で生活する人々の根気強さとモラルの高さ、2)震災後の一週間ほど交通網が混乱したなかで、1時間以上並んでまで会社に行くサラリーマンの姿、3)原子力発電所の危険な状況においても、その地区にとどまろうとする人々の気持ち、である。

 私も含めて大半の日本人にとって、これらはほとんど違和感がない当たり前の光景のように受け止められていたのではあるまいか。

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