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超光速ニュートリノの虚々実々(上)

内村直之 科学ジャーナリスト

 1905年、アインシュタインは特殊相対性理論の第1論文「運動物体の電気力学」で、いわゆる「光速度不変の原理」を導入し、そこから「実現できる物体の速度は光速度を超えられない」という結論を示した。その106年後の今年9月23日、日本の科学者も参加する欧州のニュートリノ実験グループによるOPERA実験で「ニュートリノの速度が光速度をほんのわずか(0.0025%)上回っている」という結果が出たと発表され、物理学者だけでなく、一般科学者、メディア関係者、SF愛好者にいたるまで幅広い人々を興奮させた。アインシュタインをはじめとする「科学の権威」といわれるものも確実ではなく、いつかひっくり返るものなのか? それとも、「実験のどこかに危うい所が……」と疑うのが正しいのか? その虚々実々を探る。
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