メインメニューをとばして、このページの本文エリアへ

ケアとしての科学(上)原発事故とこれから

広井良典 京都大学こころの未来研究センター教授(公共政策・科学哲学)

 今回の震災、とりわけ原発事故とそれへの対応をめぐって、科学技術あるいは「近代科学」のあり方そのものを問う議論が様々なレベルで起こってきていることは言うまでもない。もちろんこれは巨大かつ複雑に入り組んだテーマであり、たとえばそれを、単純な近代文明批判といった視点のみで論じることは困難だろう。しかしそれでもなお、科学ないし近代科学のありようそれ自体が根本から問われていることは確かであり、ここでは、やや個別の事象から距離を置いたものではあるが、今後の科学・技術のあり方を考える一つの観点として、「ケアとしての科学」という方向について考えてみたい。
・・・ログインして読む
(残り:約1230文字/本文:約1503文字)