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自炊代行を目の敵にしても、電子出版に明日は来ない

久保田裕

久保田裕

昔は「自炊」というと、一人わびしくご飯をつくることを意味したが、一昨年辺りから、まったく違った意味合いの言葉として使われるようになってきた。自分の持っている本をバラバラにしてスキャナーで読み込み、デジタル書籍化することを自炊と呼ぶようになったのだ。

 この言葉、どうも最初は、パソコンを使ってCDなどの中から音楽データを吸い出すことを意味して使われたものらしい。「自」分でデータを「吸」い出すから「自炊」となったようなのだが、誰がどこで最初に言い出したのかは、はっきりしない。

 本のデジタル化のほうの「自炊」は、昨年から、たびたびニュースになるようになった。自炊を代行する業者に対して出版社や作家が質問状を送ったり、違法行為として東京地裁に提訴したりしたのだ。こう聞くと、自炊というものは、どこか後ろめたい脱法行為であるかのように思われるかも知れない。

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