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農地の表土除去は止めた方がいい-現実的な手法で作物の放射能低減を

高橋真理子 ジャーナリスト、元朝日新聞科学コーディネーター

農業関連の除染対策を議論する国際研究シンポジウムが8~10日、福島県郡山市で開かれた。ロシアやベラルーシ、ウクライナ、そして欧米の専門家も多数参加し、チェルノブイリの経験と福島の研究成果を互いに分かち合った。

 日本側が「表土をはぎ取れば土壌の放射性セシウムは大幅に減らせる」という研究結果を発表したのに対し、海外の参加者から「はぎ取った土の保管場所がなければ絵に描いた餅」「人手と時間が余りにかかり、大規模にやるのは難しいのでは」といった懸念が投げかけられた。議論を聞いていて、農地にこの手法を適用するのはすっぱり諦めるべきだと感じた。逆に、希望が持てたのは、土壌から作物に移行する放射能は相当少ないという測定結果だ。最終目標は、土壌ではなく、作物だ。作物に入る放射能を減らすための現実的な対策も、いくつかわかってきた。福島の農業関係者のこの1年の努力には、海外からの参加者も惜しみない賛辞を贈っていた。

 福島原発事故のあと、ヒマワリを植えて放射能を減らそうという運動が広まった。しかし、農林水産省の研究でヒマワリには放射能を吸収する能力がほとんどないことがわかり、運動を応援した人たちはがっかりした。しかし、これは別の視点から見れば朗報なのだ。土壌が放射能汚染していても、植物はあまり放射能を取り込まないということだからだ。

 福島県農業総合センターは、水稲や野菜31種類の「放射能取り込み度」を調べた。

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