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国際色豊かな34人が入学

~沖縄科学技術大学院大学のスタート

高橋真理子 ジャーナリスト、元朝日新聞科学コーディネーター

沖縄科学技術大学院大学(OIST)の最初の学生の入学式典が9月6日に催された。はっきり言って、すったもんだを重ねてきた「特殊な大学」である。内閣府が資金を出すが、国立大学ではない。位置づけは私立大学で、沖縄振興と世界最高水準の研究・教育の二本立ての使命を持つ。「理念は立派だけど、そんなの無理」という陰口に囲まれながら、ついにスタートラインに立った。

 新入生は、18カ国・地域の34人。2082人の志願者の中から、欧米流の面接中心の入試を経て選ばれた。日本人は5人で、その他のアジア各国から12,北米3,欧州9,アフリカ・中東5と、バラエティに富む。いずれも学士もしくは修士の資格の持ち主だ。日本人の出身大学は、東京大学、早稲田、慶応、茨城大学及び名桜大学(沖縄県名護市)、英国セント・アンドルーズ大学(スコットランド)だという。なお、男女比は24対10と、もう少し女性が多くてもよさそうというところ。

立ち上がった新入生たち=OIST提供

 5年一貫制の博士課程のみだが、修士号を持つ人は早めに修了することも可能だ。公用語は英語で、学内の看板も英語が先、日本語が後に書かれていた。研究ユニットを持つ教員は現在46人、3分の2が外国人だ。

 何人かの学生に、なぜここを選んだのか聞いてみると、例外なく「学際的な環境」を理由にあげた。OISTは、研究室の壁をなくすさまざまな工夫を凝らしている。1年次には三つのラボを回ってさまざまな研究領域に触れる。それが魅力だった、と学生たちは言った。イギリスでもドイツでもシンガポールでも、どこも大学というところは研究室の壁がやたら高いらしい。「でもOISTは違う」と力強く語る若者たちを見ていると、こちらも明るい気分になる。

 沖縄に世界最高水準の大学を、という政府構想が生まれたのは2001年だった。当時の

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