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人間の最適体温と水の性質の意外な関係

湯之上隆 コンサルタント(技術経営)、元半導体技術者

人間の体の約60%は水である。そこで、たまたまブックオフで手に入れた上平恒著『水とはなにか』(講談社ブルーバックス)を病床で読んで、人間の体温と水の関係について大変面白い現象を知った。

 まず話は、人間の体温とは一見関係がなさそうな、2枚のガラス板の分離圧に言及している。水の中で合わせた2枚のガラス板を引き離すには分離圧が必要となる。その分離圧は水の温度によって大きく変わるのだが、驚くべきことに、15℃、30℃、45℃、60℃に大きなピークがある(図1)。

 ペーシェルとアドルファンガ の実験によるこの結果は、水の構造変化によるものと考えられているが、何故このように著しい変化を示すかについては未だ明快な説明がなされていない。それにしても、きっちり15℃刻みでピークが現れることは、摩訶不思議としか言いようがない。

 そして更に驚くことに、上記の分離圧の温度ピーク、15℃、30℃、45℃、60℃が生物にとって危険な温度であるという。

 生物は細胞からできている。また様々な器官がある。そのため、生物のからだには無数のすきまがあり、これが体液で満たされている。二枚のガラス板の分離圧が温度によって著しい変化をするわけだが、

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