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沈滞気味の卒業研究に活を入れるサイエンスインカレ

伊藤智義 千葉大学大学院工学研究院教授

3月最初の週末にサイエンスインカレの研究発表会が開催された。インターハイといえば全国高等学校総合体育大会(略して高校総体)のことで、皆さんもよくご存じだろう。その大学版がインカレ(インターカレッジ)であり、科学技術の分野で競い合う大会がサイエンスインカレである。文部科学省の主催で昨年から正式に始まり、今年が第2回である。大会趣旨として「全国の自然科学分野を学ぶ学部生等に自主研究を発表し、切磋琢磨し合う場を提供することにより、学生の能力・研究意欲を高めるとともに、課題設定能力、課題探究能力、プレゼンテーション能力等を備えた創造性豊かな科学技術人材を育成することを目的としています」とうたわれている。部門は「卒業研究に関係しない」ものと「卒業研究に関係する」ものと2つある。素晴らしい取り組みだと思う。特に、卒業研究を対象に入れたことには大きな意義を感じる。

 大学の理工系では、一部を除いて、卒業研究は非常に重要である。未解決の課題に向き合い、論理的思考にもとづいて、論文として形あるものにまとめる。それまでの座学とは比較にならないほどの知的訓練となる。教員や学生同士のコミュニケーションも比較にならないほど濃密である。4月に配属されてきた学生が、卒業研究を経て3月に卒業していく頃になると、見違えるほどの成熟をみせることも少なくない。

 ところが最近では、

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