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サムソン電子で起きたハイテク労災問題

吉田文和 愛知学院大学経済学部教授(環境経済学)

 韓国で起きた旅客船沈没事故は、改めて安全無視型の経済急成長の問題点を世界に示したが、もう1つの事例が韓国を代表する世界企業、サムソン電子の労災問題である。この問題は、半導体製造による労働環境問題として「ハイテク汚染」の現代版であると同時に、便利な携帯電話に潜む安全環境問題を明らかにしている。

白血病などが多発

 サムソン電子は、世界のトップ企業の1つで、売上22兆円(13年12月期)、アップルの売り上げ17兆円を超える。サムソンのスマートフォンの世界シェアは35%を占め、半導体(DRAM)は40%にもなるという。従業員は36万人を超える多国籍企業である。サムソングループは、韓国のGDPの2割を占める巨大企業で大きな影響力をもつ。

 しかしスマートフォン生産、その部品である半導体生産の裏側で、多くの労働災害が起きている。韓国サムソンの関連死亡者は2013年に入り、合計70人以上にのぼり、白血病患者は180人を超えると報道された。半導体工場での発生事例が多い。サムソンの白血病問題が明らかになって7年近くの間、白血病だけでなく脳腫瘍・乳癌・子宮頸部癌・皮膚癌・生殖障害を訴えるサムソン労働者160人余りの情報提供が‘SHARP’(半導体労働者の健康と人権を守る団体)に相次いで寄せられている(表参照)。

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