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ウーマン・イン・サイエンス-米国の悩み

科学技術の世界から女性とマイノリティーが排除されている

高橋真理子 ジャーナリスト、元朝日新聞科学コーディネーター

 科学技術の世界で活躍する女性が男性に比べて少ないことは世界共通の現象だ。国連教育科学文化機関(ユネスコ)は「women in science」という各国の女性研究者比率が手軽にわかるページを作り、不均等が少しでも改善されるように促している。

 だが、現実は厳しい。それは、理系大学の最高峰の一つマサチューセッツ工科大学(MIT)の学長に女性が就く米国でさえ例外ではない。2月に米国カリフォルニア州サンノゼで開かれた米科学振興協会(AAAS)の年次総会では、女性や黒人、ヒスパニック系らマイノリティーは科学技術の世界に入りづらい現状が報告された。

AAAS総会会期中に開かれるファミリーデーでは、子どもたちに科学に関心を持ってもらおうとたくさんのブースが出る=筆者撮影、以下同

 日本語の「科学技術」にあたる「Science and Technology (S&T)」は米国でもよく使われるが、「science, technology, engineering and mathematics」(科学、技術、工学、数学)の頭文字をとった「STEM」の登場頻度も高い。「STEMの学位」「STEMの仕事」というように。日本語の「理系」と「STEM」は微妙に違うように思われるので、ここでは「STEM」という略語を使いたい。

 日本と米国で大きく違うと感じるのはSTEMの仕事の位置づけだ。「ほかの仕事に比べて給料が良く、しかも就職口が増えている」と説明される。「博士号をとっても職がない」ことが問題になっている日本とは違うのである。

 米国で、

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