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夏休みの登山、噴火にあったらこうすべし

火山学者が教える「身を守る法」

瀬川茂子 朝日新聞記者(科学医療部)

 日本旅行医学会が、7月4日都内で登山医学セミナーを開いた。昨年の御嶽山(長野・岐阜県境)の火山災害を受けての企画だった。 もしもの時に、火山で身を守る方法について、いろいろ考えさせられた。夏休みで登山を計画していらっしゃる方もあるかと思い、紹介したい。

御嶽山の登山者の捜索=2014年9月29日

 まず、御嶽 山で救援活動にあたった東京消防庁の救助隊の報告があった。下山した登山者から、王滝山頂小屋には誰もいないと聞いていたが、念のために小屋を調べた。戸を開けると、横になっていた人が、むくっと起きあがり、いきなり携帯電話を出して、「助かった」と話し始めたそうだ。8人の登山者がお互いに助け合ってふとんをしき、水をだし、食べ物を分け、救助を待っていたという。

 まさか、こんな災害に巻き込まれるとは、想像もしていなかったことだろう。噴火はいきなり始まることがある、ということを肝に銘じておく必要がありそうだ。

 火山の専門家として、セミナーで講演した産業技術総合研究所活断層・火山研究部門の伊藤順一副研究部門長は、登山前の情報集めを勧めた。それぞれの火山の特徴などは、気象庁や産業技術総合研究所のホームページで確認できる。気象庁のホームページの活動状況、自治体の防災マップをなどもチェックしておこう。

 万が一、登山中に噴火したら、ただちに噴火口から遠ざかる方向に逃げるのが鉄則だ。 もし、火口が見えない位置にいた場合、火口はどこだと判断するか? 事前にハザードマップなどで火口の位置を確認していたとしても、いつも同じ場所で噴火が始まるとは限らない。音のする方向、噴煙がわき上がってくる方向、ガス臭さを感じたら、その風上、まわりの人が見ている方向など五感で判断するしかない。

 それでも火口の位置がわからなかったら、どうすればよいのか。伊藤さんに尋ねると、

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