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デンマークのグリーン技術を日本に売り込む

ステート・オブ・グリーンのモーテンセン長官に聞く

石井徹 朝日新聞編集委員(環境、エネルギー)

 2050年に自然エネルギー100%を目指すデンマークが、日本を含むアジア各国で環境技術の売り込みに力を入れている。グリーン経済を先導する官民協働組織「State of Green(ステート・オブ・グリーン)」がこのほど、英語、中国語に続いて、日本語のウエブサイトを開設した。(英語のサイトはこちら)この機会に来日したフィン・モーテンセン長官に、デンマークのグリーン戦略を聞いた。(インタビューは2015年10月19日に実施)

ステート・オブ・グリーンのフィン・モーテンセン長官=東京都渋谷区のデンマーク大使館ステート・オブ・グリーンのフィン・モーテンセン長官=東京都渋谷区のデンマーク大使館

 ステート・オブ・グリーンは、2008年に設立されたデンマーク政府と主要な4産業団体(デンマーク産業連盟、デンマークエネルギー協会、デンマーク農業食料委員会、デンマーク風力産業協会)による非営利団体。エネルギー、気候変動、水などの主要関連企業を集めており、環境・エネルギー分野でたけたデンマークの経験や技術、経営管理などのノウハウを提供するプラットフォームになっている。フレデリック皇太子の後援も受けている。デンマークの環境関連のソリューション(解決策)や技術を生かして、国際的なネットワークを促進しており、2011年には、新たなデンマークの環境ブランド「ステート・オブ・グリーン~未来へ、デンマークとともに」を打ち出した。

 ――今回の来日の目的を教えてください。


 デンマークと日本は、さらなる協力が必要です。日本のデンマークに対する関心が高まっているのを感じます。ビジネスや産業の分野だけでなく、国会議員などの政治家も頻繁に訪れ、デンマークの経験を学ぼうとしているからです。私たち「ステート・オブ・グリーン」も、日本からの訪問団と会うことがよくあります。デンマークと日本の企業で、パートナーシップ関係を結んでいるところもあります。両国はさまざまな分野ですでに協力関係にありますが、将来はさらに関係強化が必要です。日本語ウエブサイトの開設も、その一環なのです。

 ――関係強化にとって、いまが重要なタイミングなのはなぜですか。


 日本語サイトの開設では、デンマーク大使館と日本側のパートナーである「環境エネルギー政策研究所(ISEP)」と、半年にわたって準備をしてきました。デンマークの企業は、日本ではバイオエネルギーなどを含め、すでに20以上の環境ソリューションを実施して、うまくやっている実績があります。日本は、デンマークにとって11番目に大きなマーケットであり、欧州連合(EU)で唯一、日本との貿易で輸出超過になっている国です。

 ――ただ、日本の政府や産業界は、12月のパリ会議(COP21)や炭素の価格化について、さほど関心を示していないように見えます。

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