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決済システムが一変? 想像絶する構造変化の予兆

ブロックチェーンの革新性は、インターネットに匹敵する

山下哲也 エバンジェリスト、山下計画(株) 代表取締役CEO

 ふと、電車の中を見渡すと、誰もが手にして見つめているのはスマートフォンだ。今や私たちの日常はインターネット上を飛び交う情報に依存しているが、あまりにも当たり前過ぎて、それを強く意識することはほとんどないだろう。このインターネットの成長性を、90年代当時に多くの専門家は見抜くことができなかった。

 スマートフォンが使用するLTEや3Gといった無線通信技術は、90年代に国際統一規格を目指し、国際電気通信連合(ITU)と各国標準機関が連携して開発・標準化が進められたが、未来の携帯電話として3Gの基本的な要求仕様をまとめたITU-Rの勧告文書(Rec. ITU-R M.816-1)の中にインターネット対応を必須の機能として規定する言葉はない。当時私は、規格の提案書作成にあたる標準化メンバーの一人として連日膨大なメール や検討資料と格闘している中でこれに気づき、ひどく驚いたことを覚えている。検討資料のほとんどは、各国のメンバー・企業の間でインターネットを介してやり取りがなされていたにもかかわらず、既に目の前にあり日々使い始めていたインターネットが、将来、電話にとってかわるポテンシャルを誰もが見過ごしていたのだ 。

 今、そのインターネットの世界で新たな革新が台頭しつつある。それはブロックチェーン(blockchain)と呼ばれる技術だ。

都内のダイニングバーに設置されたビットコインの「ATM」。ビットコインを買うことも売ることもできる=2014年6月18日、篠 健一郎撮影

 2014年に日本でも話題になったビットコイン(Bitcoin)は、これを具体的に利用したものといえば分かりやすいが、一方で、ビットコイン取引所の一つであったマウント・ゴックスの破綻騒ぎにより、ブロックチェーンを今ひとつ信用がおけない怪しげな仕組みと誤解されている方も多い。

 ブロックチェーンは電子マネー専用技術ではない。インターネットと

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