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続・誤解の多い種苗法改正案、その狙いと影響度を探る

巨大企業は日本の種子市場に魅力感じないという現実

小島正美 食・健康ジャーナリスト

モモを採り入れ=2020年7月10日午後、栃木県佐野市上羽田町、根岸敦生撮影

日本の種子は巨大企業に支配される!

 種苗法改正案に対し、「日本の種苗、種子市場が海外の巨大企業に支配される」という反対論がネットを見るとけっこう目立つ。海外の巨大企業への警戒論だ。たとえば、「改正法案は、育成者権の保護を名目に自家増殖の禁止を求めてきた海外グローバル企業の戦略に沿ったものだ。いわば巨大企業支援法だ」との批判がある。

 日本の種苗や種子が巨大企業に牛耳られてしまうという企業批判は以前からあった。こうした意見を声高に訴えているのは農家というよりも、消費者が中心の市民団体だ。公営だった水道事業の運営の一部に民間企業のノウハウを取り入れる動きを促す水道法改正案のときに見られた「日本の水が海外の巨大企業に乗っ取られる」との論法とよく似ている。現に反対する人たちの顔触れは重なる。

巨大企業は日本の市場に魅力を感じていない

 では、そもそも海外の巨大種子総合企業は今度の改正をどう見ているのか。ある巨大なアグリ農業企業に勤める担当者に「正直なところを聞かせてほしい」と取材した。返ってきた答えは予想とは全く違っていた。

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