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「グリーンな復興」に不可欠な環境アセス制度の抜本的強化

辺野古の埋め立て用土砂採取で環境破壊が沖縄県全域に広がる恐れ

桜井国俊 沖縄大学名誉教授、沖縄環境ネットワーク世話人

 コロナ後、われわれはいかなる社会を目指すべきか。

 そのことが今、さまざまな形で論じられている。今回のパンデミックをもたらした新型コロナウイルスは、飽くなき成長を求めた人間たちの暮らし方が、地球の生態系を崩壊させ、野生生物の世界にまで傍若無人に踏み込んだ結果生じたものである。

 コロナ後に我々が目指すべきなのは、地域環境・地球環境と調和した「グリーンな復興」であるが、そのために欠かせないのが、環境影響評価制度(アセス制度)の抜本的強化だ。

 残念ながら日本のアセス制度は、コロナ以前においても「環境と開発に関するリオ宣言」の第10原則やオーフス条約などの世界標準から大幅に立ち遅れたもので、開発サイドに甘く、不十分な環境破壊抑止機能しか持たないものであった。日本の中でそのことが最も顕著に表れていたのが沖縄で、論座では、辺野古新基地建設事業のアセスを例にとって繰り返し指摘してきた。

 コロナ後、「グリーンな復興」を目指すにあたっては、改めてゼロに立ち返ってアセス制度の抜本的強化を図らなければならない。その際にも、辺野古新基地建設を巡る沖縄の現実が、改善すべき事項の所在を指し示しているように思われる。

沖縄で進められる「意見書」提出運動

「意見書」提出を呼びかけるオール沖縄会議ウェブサイト「意見書」提出を呼びかけるオール沖縄会議ウェブサイト
 国中が新型コロナ禍で大騒ぎとなり、4月7日に政府が緊急事態宣言を行い、沖縄でも4月20日に玉城知事が県独自の緊急事態宣言を発表する中で、沖縄防衛局は4月21日、大浦湾における地盤改良工事に伴う「設計概要変更申請書」を沖縄県に提出した。

 この申請書は、県によるミスのチェックと、それに伴う防衛局の対応を経て、当初は7月中にも告示・縦覧に供されると言われていたが、

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