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統計活用の世界ポスターコンテストで日本の中三トリオが一等賞

日本初の快挙を成し遂げた神戸大学附属中等教育学校の教育

井上 真理 神戸大学附属中等教育学校校長

統計を使いこなす能力向上を目指した世界コンテスト

 統計を使いこなす能力(統計リテラシー)の向上を目指して活動している「国際統計リテラシープロジェクト(ISLP)」が実施する国際ポスターコンテストの中学生(2004年以後生まれ)部門で、神戸大学附属中等教育学校(中一から高三まで在学する6年一貫教育校)の生徒3名が一等賞(1st prize)に選出されたとの報が7月16日に飛び込んできました。校長として誠に嬉しく、ぜひ多くの皆さんにこの快挙を知っていただきたいと筆をとりました。

 このコンテストは、国際統計協会(International Statistical Institute=ISI)の教育部門である国際統計教育協会(International Association for Statistical Education=IASE)傘下にあるISLPが実施するものです。2007年にパイロット大会が開催され、名称変更を経て、2010年より2年ごとに開催されるようになり、世界30カ国以上から1万6000 名以上が参加する国際大会となっています。中学生、高校生、大学生と3つの部門があり、日本代表が一等賞を獲得するのは、すべての部門を含めて初めてのことです。

国際統計リテラシープロジェクトのポスターコンテストで一等賞に輝いた左から山本望実、小川千遥、脇阪紀恵の皆さん=神戸大学附属中等教育学校提供

 栄冠に輝いたのは、小川千遥、山本望実、脇阪紀恵の3名です。彼女たちは中学3年生だった2020年度末に、バスケットボールのBリーグを題材に”Correlation between Winning Percentage in Home Stadium and Environmental and Crowd Pressure(ホームスタジアムでの勝率と環境および観客数との相関)”のポスターを制作しました。

一等賞に選ばれたポスター(一部)

よく知らないスポーツでも研究できる切り口を考えた

 3人がまとめた「受賞の言葉」は以下です。

 今回の研究の始まりは、興味本位で応募した「中高生・スポーツデータ解析コンペティション」(日本統計学会統計教育分科会主催)でした。私たちはまず未知の「統計」を知るため、先輩や先生方の勉強会に参加しました。しかし、統計だけでなく、スポーツの知識もままならない私たちは調査する種目すらなかなか決まりませんでした。数週間考えたのちに行きついた研究の切り口が「気象とスポーツ」でした。これなら、種目の細かいルールを知らなくとも、研究できると思いつきました。
 そこから
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