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医師の労働環境を「連合」に守ってもらおう

医師会と「連合」は政党色を排除して連携すべき

川口浩 東京脳神経センター整形外科・脊椎外科部長

 日本の全医師約32万8000人の中で、開業医を含む「医療施設の開設者または法人の代表者」数は約7万8000人である。残りの約25万人、すなわち全国の医師の75%余りは病院などの医療施設の被雇用勤務医である。

 医師という職業はその専門性・特殊性から「労働者ではない」といった誤解が今でも根強く残っているようであるが、被雇用勤務医は医療施設内では間違いなく労働者である。事実、2018年に公布された「働き方改革関連法」に関連した「医師の働き方改革」においては、勤務医に労働基準法が適用されることを前提とした議論がなされている。

「医師の働き方改革」の不条理

医師の働き方改革の報告書をまとめた厚生労働省の検討会=2019年3月28日、東京・霞が関
 しかしながら、問題はその内容である。昨年11月に厚生労働省は地域医療に携わる医師や研修医の残業時間の上限を年1860時間(月155時間相当)とする省令案を了承した。すなわち政府は、医師が労災認定される「過労死ライン」(月80時間)の2倍近くの残業をすることを認めたのである。「医療現場は医師の長時間労働によって成り立っている面が強く、厳しい規制を当てはめれば医療が立ちゆかなくなる」という理由には、医師の労働環境に対する配慮が見られない。「過労死するかも知れないけど、国民や患者の健康のために滅私奉公すべき」という発想はパワハラの域を超えている。
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