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持続可能な発展のための国際基礎科学年~天文学での取り組みは

2023年6月30日までの1年間

山岡均 国立天文台天文情報センター長・准教授

「持続可能な発展のための国際基礎科学年」の日本語ロゴ
 この1年間、正確に言うと2022年6月30日から2023年6月30日までの期間は、国連が定める「持続可能な発展のための国際基礎科学年」(International Year of Basic Sciences for Sustainable Development、IYBSSD)とされている。名称としては少々長いため、以下では「国際基礎科学年」と呼ぶことにする。基礎科学が人類社会の発展を支える根源的な存在であることは、ほとんどの人々の共通認識であろう。この1年を、基礎科学の重要性を改めて再確認し、基礎科学について広く市民が触れたり話し合ったりする機会を設ける期間としていこう、というのが国際基礎科学年の目指すところだ。

 国内では、日本学術会議が旗振り役となり、さまざまな取り組みを推進していくことになっている。先日の7月29日には乃木坂にある日本学術会議講堂でキックオフに位置づけられる学術フォーラム「国際基礎科学年~持続可能な世界のために」が催され、1年間の活動のさきがけとなった。フォーラムのようすや、多くの分野におけるさまざまな活動については、ウェブページを参照してほしい。

天文学分野で3回目の「国際年」

=shutterstock.com
 天文学の分野でこのような「国際年」に対して広く取り組むのは3回目になる。最初は2009年、ガリレオ・ガリレイがはじめて望遠鏡を宇宙に向け、月のクレーターや木星の衛星を観測してから400年を記念した「世界天文年」(International Year of Astronomy)であった。Internationalを「国際」とせず「世界」と訳したのは、国を越えた取り組みも国内の取り組みも同様に重要だとする、日本委員会の卓見だったと思う。

 この年には

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