昨今の選挙では「消去法的」に選ぶのは当たり前
2020年07月20日
ダウンタウンの松本人志氏が、2020年7月5日に行われた東京都知事選挙について、投票を棄権した旨の発言をしたことに対して、批判の声が多くあがっています。
松本氏は、12日放送の「ワイドナショー」(フジテレビ系)に出演した際、「消去法的な選挙に意味があるのかと」「っていうことで僕は今回都知事選という選挙を消去してしまいましたね」と発言しました。同番組では政治の話題も数多く取り上げており、松本氏も自身の所感を頻繁に述べてきたにもかかわらず、投票棄権を吐露した姿勢が、「無責任だ」と批判を招いているようです。
同じく番組に出演していた指原莉乃氏は、投票に行こうとTwitterで呼びかけていたのに、結果的に投票率が上がらなかったことを嘆いていましたが、松本氏の発言の後に映し出された彼女の表情は、どこか困惑しているようにも見えました。この発言は、指原氏の取り組みをまるでちゃぶ台返しするようなものですから、無理もありません。
ネット上では「棄権するのも自由だ!」という擁護の声もありましたが、松本氏の発言がいかに愚かなものかは、小中学校の学級委員を選ぶ選挙に当てはめればよく分かります。委員を選ぶホームルームで、声の大きな生徒が、「消去法的な選挙に意味があるのか!」と言い出したら、「何を言っているんだ……」と思う人が大半なのではないでしょうか?
もちろん、「自分が変えて欲しいと思っていることを変えられる権限が学級委員には与えられていないから、そんな選挙に意味を感じない」といった、制度が抱える「構造的問題」に対する指摘であれば、ある程度の論理性があるとは思います。ですが、彼は単に自分の望むような人が立候補しておらず、自分にとって「消去法的だ」と感じたから難癖をつけているだけです。
社会に対して斜に構えていたい若者ならばまだしも、56歳の大人(しかもテレビ業界における高い地位を築いた人物)が、恥ずかしげもなく公共の電波で語っているわけですから、未熟な行為であると言わざるを得ないでしょう。ネット上の批判でも、「カッコ悪い大人」のような表現が目立ったのも頷けます。
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