2012年08月25日
性格はいたって穏やかだ。
大阪桐蔭に入学後は一度も怒ったことがないと本人は言う。決勝戦で3回に悪送球をした2年生サードの笠松悠哉が証言をする。
「どれだけミスしても怒ることはもちろん、嫌な顔をされたこともありません。クールっていうのか、笑って対応してくれるのがやっぱ、さすがエースだと思います」
努力家でもある。過去の投球フォームをビデオで入念にチェックする姿を笠松は何度も見ている。選手全員が西谷浩一監督に提出する「野球ノート」に、ページいっぱいに書き込むこともある。昔のノートを引っ張り出し、当時の考え方などを確認することもあるという。
「藤浪はいろんなことに好奇心が強く、マイペースですね」(西谷監督)
下半身を鍛えるために走ることの重要性を説けば、走りつづけられるのが藤浪だった。
取材に応える語彙が豊富なのは、本好きのためだ。最近読んだ本はサッカー日本代表主将の長谷部誠著『心を整える』。
「野球だけの考え方になってしまうのは嫌なので、サッカーの本も読んで違う考え方に触れられて良かったと思います」
東野圭吾の小説なども好きで、得意科目も国語。幼少時から英会話スクールに通い、中学時代に英検の準2級を取得。「学校の英語は得意じゃないけど、リスニングには自信があります」と、さらりと言う。
有友茂史部長は、藤浪の頑固な一面を語る。
「素直に何でも『はい』というタイプではありません。自分の意見を必ず言うし、すべて自分の頭で相手の話を理解し、ちゃんと相手に伝えたいという思いがあるようです」
自分の意思と異なるマスコミ報道に不満もあったようだ。だが、それについて聞いてみると、クールに言い放つ。
「でも最近は別に何とも思いません。どうしても面白おかしく書かれてしまうので、その点は仕方ないのかなと思って」
穏やかで賢い努力家だが、マウンド上と同じように不器用さをもっているのが藤浪だ。
春夏連覇への道のりは、センバツを制した4月4日の翌日から綿密な計算を元にスタートした。
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