久保田裕(朝日新聞科学医療グループ DO科学編集長)
2010年09月22日
【お知らせ】ニコニコ動画の新番組「ニコ生シノドス」第1回に、久保田裕・朝日新聞科学医療グループ記者が出演します。9月26日(日曜)夜8時から2時間のインターネット生放送です(下記URL参照)。
「ニコ生シノドス」第1回「ホメオパシー騒動とニセ科学論争」
9月26日(日曜)20:00~22:00/司会:荻上チキ(評論家、「シノドス」プランナー)/ゲスト:菊池誠(大阪大学サイバーメディアセンター教授)、久保田裕(朝日新聞科学医療グループ記者)
http://synodos.livedoor.biz/archives/1529129.html(番組告知) / http://live.nicovideo.jp/watch/lv27437085(番組URL)
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ホメオパシーをはじめとする疑似医療や、疑似科学と呼ばれる怪しい科学モドキの世界のウオッチングを、この20年ほど、個人的な「趣味」として行ってきた。科学ジャーナリストの端くれとして、まとな科学よりも、人々はなぜいかがわしい科学のほうにより惹かれていくのだろうという、その不思議さがとても興味深く思えたからだった。
だが、「ホメオパシー」などというすごくマイナーだった単語が、日本人の日常生活の場にものぼる、こんな日が来ようとは、つい最近まで夢にも思っていなかった。
一連の新聞報道は、山口県の助産師が、ビタミンK2のシロップの代わりに、ホメオパシー独自のレメディーと呼ばれる砂糖粒を乳児に与え、乳児が頭蓋内出血で死亡したと訴えられた事件をきっかけとして始まった。
日本の科学者の代表機関・日本学術会議が素速く反応し、ホメオパシーを「荒唐無稽」と断じて、使用しないように訴える会長談話を発表した。日本医師会や日本獣医師会、日本薬理学会といった関連学術団体はみな、右にならえとばかりに直ちに賛同の意を表した。
「正統的な科学や医学が、いかがわしい医学モドキを排除する」。これは一見、望ましい事態の進展にみえるかも知れない。だが、「疑似科学ウォッチャー」を長年してきた身としては、かなり複雑な思いで、この間の成り行きを見守ってきた。
どこが引っかかるのかというと「排除自体は結構かもしれません。でも、排除のその先はどうするつもりなのですか?」ということなのだ。
排除とは、
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