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ギリシャの次はスペインか~債務危機の連鎖を絶つには~

武田洋子 三菱総合研究所チーフエコノミスト

 世界が注目したギリシャの再選挙は、財政緊縮派の新民主主義党(ND)が勝利し、「緊縮策の放棄→無秩序なユーロ離脱へ」という最悪の事態は回避された。

 しかし、根本的には問題は解決していない。第一に、ギリシャの先行きは依然として不透明である。6月19日にも連立政権が樹立される見通しだが、決して磐石とはいえない。今回の選挙では、かろうじて緊縮派が勝利したが、反緊縮派も国民の半数近くから支持を得ている。新政権が短命に終わる可能性もあろう。

 また、EUとIMFからの融資を受けるには、新政権は6月末までに13、14年の追加歳出削減策(116億ユーロ)を提示する必要がある。新政権は、融資条件緩和について交渉するとしているが、メルケル独首相は条件緩和には否定的なスタンスだ。融資が実行されなければ、ギリシャ政府の資金は7月半ばにも枯渇するとみられ、綱渡りの状況に変わりはない。さらに、緊縮策を策定できたとしても、強いリーダーシップと国民の意思なくして実現は厳しい。

 第二に、より懸念されるのはスペイン情勢である。ギリシャ選挙後の18日、スペイン国債の10年物利回りは危険水域といわれる7%を超えて上昇、ユーロ導入以来の最高水準に達した。

 同国は、「景気後退・財政悪化・銀行不安」の負の連鎖に陥っている。国内総生産(GDP)の実質成長率は2四半期連続でマイナスとなり、既に景気後退入りしている。4月の失業率は24.3%と過去最高水準を更新、25歳未満の若年層は50%を超える。財政悪化にも歯止めがかからない。景気後退による税収減から、11年の財政収支は対GDP比▲8.9%と、目標の同▲6%に比べ悪化した。

 銀行不安も高まっている。住宅バブル崩壊と景気後退により銀行の不良債権が増大、不良債権比率をみると2008年初の1%程度から直近4月は8.7%へ急上昇している。銀行は資産圧縮を加速、銀行借入への依存度が高いスペインの企業にとって大きな痛手となっている。こうしたなか、12年5月には、大手銀行バンキアが190億ユーロの追加資本注入を政府に要請したこともあり、市場でスペインの銀行の資本不足への懸念が高まった。

 債務危機がギリシャでとどまるのか、スペインへと波及するのかは、世界経済にとって大きな分かれ道となる。第一に、 ・・・ログインして読む
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筆者

武田洋子

武田洋子(たけだ・ようこ) 三菱総合研究所チーフエコノミスト

【退任】三菱総合研究所 政策経済・研究センター チーフエコノミスト。東京都生まれ。ジョージタウン大学公共政策大学院修士課程修了。94年に日本銀行入行後、海外経済の分析、外貨準備の運用、内外金融市場のモニタリング・分析、外国為替市場における平衡操作担当などを歴任。09年4月より現職。専門は国際金融、マクロ経済、公共政策。

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